住まいづくりの知識上手/性能表示 (品確法)

品確法とは?

品確法とは、@住宅の品質確保の促進、A住宅購入者等の利益の保護、B住宅に係わる紛争の迅速・かつ適正な解決、を図るために創設された法律で、下記の措置が講じられました。  (平成12年4月1日より施行)


● 住宅性能表示制度の導入  (任意制度)

住宅の性能に関する表示の適正化をはかるために、共通のルールを設け、消費者による住宅の相互性能比較が可能になった。


● 住宅に係わる紛争処理体制の整備  (性能表示制度に伴う)

性能評価を受けた住宅に係わる裁判外の紛争処理体制を整備し、紛争処理を円滑化・迅速化された。


● 瑕疵担保責任の特例  (義務化)

新築住宅の取得契約(請負・売買)において、基本構造部分の瑕疵担保責任を10年間と義務つけられた。



住宅性能表示制度の概要

住宅の性能について、消費者にわかりやすくするために、共通のルール(表示の方法・評価基準など)を設け、住宅の性能比較を容易にすると共に、第三者機関を設置し住宅の品質確保を図る任意の制度です。主な内容は以下のとおりです。


1),住宅の性能を表示するための、共通ルールを定め、住宅の性能を相互比較しやすくする。


2),住宅の性能評価を客観的に第三者機関が評価し、表示される住宅の性能について信頼性を確保する。


3),住宅の売買契約の際に、評価機関により交付された住宅性能評価書の記載内容(住宅性能)が、契約内容として保証される。


4),性能評価を受けた住宅に係わるトラブルに対しては、裁判外の紛争処理体制を整備し、万一のトラブルの場合にも紛争処理が円滑化・迅速化される。


※住宅性能表示は任意の制度で、利用するかしないかは住宅供給者 または、取得者の選択によります。評価機関は、申請者の求めに応じて住宅性能評価を行ない住宅性能評価書が交付されます。


● 性能等級と評価基準について

性能項目 内容 等級 評価基準
@構造の安定性能 耐震等級 倒壊防止 建築基準法の1.50倍。
建築基準法の1.25倍。
建築基準法の1.00倍。
耐震等級 損傷防止 建築基準法の1.50倍。
建築基準法の1.25倍。
建築基準法の1.00倍。
耐風等級 倒壊・損傷防止 建築基準法の1.20倍。
建築基準法の1.00倍。
耐積雪等級 倒壊・損傷防止 建築基準法の1.20倍。
建築基準法の1.00倍。
地盤・杭の許容支持力と設定方法 明示 地盤の地耐力及び杭などの補強方法の明示。
地盤の強度調査の明示。
基礎の構造・形式 明示 基礎の形状、杭を使用する場合は、杭種・杭径・杭長を明示。
A火災時の安全性 感知器設置等級 自住戸火災時 自火報設備を全居室・台所・階段に設置。
各階毎に音響装置の設置。
住宅用火災警報機を全居室・台所・階段に設置。
住宅用火災警報機を全台所とその他(廊下、階段、居室1室の内いずれか)1ヶ所設置。
制約なし。
脱出等級 階数3以上の場合 明示 避難器具(はしご・タラップなど)設置の有無を明示。
耐火等級 延焼部分の開口部 耐火性能時間60分以上。
耐火性能時間20分以上。
制約なし。
耐火等級 延焼部分の開口部以外 外壁・軒裏の耐火性能時間60分以上。
外壁・軒裏の耐火性能時間45分以上。
外壁・軒裏の耐火性能時間20分以上。
制約なし。
B劣化の軽減性能 劣化対策等級 構造躯体が3世代(75年〜90年)もつ程度の対策。
構造躯体が2世代(50年〜60年)もつ程度の対策。
建築基準法に定める対策。
(構造躯体が25年〜30年もつ程度の対策)
C維持管理性能 維持管理対策等級 専用配管 専用配管をコンクリート内(基礎の立上り部除く)に埋め込まない。
地中埋設管上に、コンクリートを打設しない。(外部の玄関ポーチ・テラスは除く)
点検口や掃除口が設けられていること。
専用配管をコンクリート内(基礎の立上り部除く)に埋め込まない。
地中埋設管上に、コンクリートを打設しない。(外部の玄関ポーチ・テラスは除く)
制約なし。
D温熱環境性能 省エネルギー対策等級

断熱性能の地域区分
次世代エネルギー基準に適合。断熱材の必要厚み
新省エネルギー基準に適合。  断熱材の必要厚み
旧省エネルギー基準に適合。
制約なし。
E空気環境性能 ホルムアルデヒド対策 明示 居室の仕上材や天井裏等の下地材を明示。
特定建材の
ホルムアルデヒド対策等級
F☆☆☆☆(フォースター)等級以上を使用。
F☆☆☆(スリースター)等級以上を使用。
制約なし。
全般換気対策(居室) 明示 24時間換気システム。
局所換気対策 明示 トイレ・浴室・台所の換気対策を明示。
化学物質の濃度測定 明示 建物完成段階にて空気中の化学物質濃度を実測し、その結果と測定条件等を明示。
F光・視環境性能 単純開口率 明示 居室全体面積に対する開口部面積の割合を明示。
方位別開口比 明示 全居室の開口部面積に対する方位毎の開口部面積の割合を明示。
G音環境性能 透過損失等級 居室の外壁開口部 開口部の透過損失水準が25等級。(T−2等級)
開口部の透過損失水準が20等級。(T−1等級)
制約なし。
H高齢者等の配慮 高齢者配慮対策等級 専用部分 長寿社会対応設計指針の推奨基準程度。
長寿社会対応設計指針の基準程度。
部屋の配置・段差・階段・手摺・通路の幅などに基本的な措置対応。
部屋の配置・段差・階段・手摺の設置に基本的な措置対応。
建築基準法を満たしたもの。
I防犯性能 開口部侵入防止対策 明示 各開口部の侵入防止対策の明示。

・上記住宅性能リストは、専用住宅を対象に表示しております。長屋及び共同住宅(マンション)の対応は記載していません。
・@構造の安定性能の耐積雪等級は多雪地域が対象となります。
・E化学物質の濃度測定は希望者だけが性能評価を受ける選択項目です。
・Gの遮音性能は選択項目です。(性能表示制度の申請から除外することもできます。)
建物性能チェックシート参照。


平成27年の改正内容


平成26年7月より評価書を取得すると、耐震性の等級に応じて、地震保険の割引を受けることができます。耐震等級3(割引率30%→50%)、耐震等級2(割引率20%→30%)、耐震等級1(割引率10%のまま)


平成27年4月より新築住宅における評価項目が従前必須項目となっていた9分野から4分野に変更になりました。(@構造の安定性能、B劣化の軽減性能、C維持管理性能、D温熱環境性能の4分野が必須。)


平成27年4月より省エネ法の住宅省エネルギー基準の改正(改正省エネ法(平成25年版))とエコまち法の低炭素建築物認定基準の制定(平成24年12月)に伴い、日本住宅性能表示基準及び評価方法基準の省エネルギー基準に関する部分が改正されました。(従前の省エネルギー対策等級から断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級が導入され、従前の等級4段階から5段階となりました。


従前は、建物の外皮性能(外壁、窓など)のみを評価していたが、省エネ法の改正に伴い住宅性能表示制度の見直しにより、「外皮の断熱性能」と設備(暖冷房、換気、給湯、証明設備)の性能や創エネルギー(太陽光発電設備など)を総合的に評価する「一次エネルギー消費量」の2つを評価する。


平成27年4月より設計住宅性能評価書又は建設住宅性能評価書が交付される住宅から、液状化に関する情報提供を評価書に記載することができることになりました。但し、液状化に係る情報提供は、申請者からの申出があった場合に行う参考情報と位置付けとなっています。


液状化に関する情報提供は、東日本大震災において、広範囲にわたる地盤の液状化が発生し、一戸建て住宅を中心に、傾斜や沈下の被害が多発したことを受け、住宅性能表示制度の見直しにより導入されました。

平成27年の改正内容



● 住宅性能表示制度の運用について

住宅の各性能は高い方が当然よいのですが、全てを満足させるには問題が発生します。
例えば、@構造の安定性能を等級3にすれば、等級1より耐力壁が必要となり、思うようなプランが取れない事や、開口部も少なくなり、F光・視環境性能の割合が低くなります。また、H高齢者配慮対策等級を上げるには、910モジュール(設計基準寸法)では対応できません。
当然建築費にも関係してきますので、予算範囲内でどの項目の性能を優先するのか、それぞれの建築主のこだわりや、ライフスタイルに合わせて運用する事をお勧めいたします。

尚 住宅性能表示制度は任意の制度です。実際に申請して活用する場合や、初期段階での依頼先を検討する上で、建築会社の自己評価になりますが、建物性能の比較検討を行なうには有効に活用できるしくみです。

また、建売住宅などを購入する場合は、是非、住宅性能評価(建設住宅評価書)の適用を受けた建物を購入する事をお勧めいたします。


住宅性能表示の申請には、設計段階で評価を受ける設計住宅性能評価と設計住宅性能評価の上、建設時の検査を経た建設住宅性能評価とがあり、各評価には評価書が申請者に渡されます。


また、【フラット35】(公庫証券化支援住宅)の優良住宅収得支援制度(金利優遇制度)を採用する場合は、@「省エネルギー性能に関する基準(省エネルギー対策等級4)」、A「耐震性能に関する基準(耐震等級2)」、B「バリアフリー性能に関する基準(高齢者等配慮対策等級3)」、C「耐久性に関する基準(劣化対策等級3) かつ 維持管理性能の基準(維持管理対策等級2)」の4つのうち、いずれかの住宅性能表示と同等の性能を確保する必要がありますが、品確法の住宅性能表示を強制されるものではありません。



● 住宅紛争処理について

建設住宅性能評価書が交付された住宅は、指定紛争処理機関に手数料1万円で紛争処理申請ができ、弁護士や建築士などの専門家による、斡旋・調停・仲裁により簡易かつ迅速に解決にあたってもらえます。

建設省(現国土交通省)より、紛争が発生した場合の、構造の欠陥・瑕疵の技術的判断基準(目安)が定められています。
住宅性能表示を受けていない一般の場合でも、欠陥住宅や構造の瑕疵判断基準として参考になります。
概略は「木造住宅の欠陥住宅・瑕疵の技術的基準」をご覧下さい。詳細は、告示をご覧下さい。


瑕疵担保責任の特例

瑕疵担保責任

全ての新築住宅の契約(請負・売買)において、基本構造部の瑕疵担保責任を10年間と義務つけられました。

建物の受領後、10年間の間にA基礎・B壁・C柱・D小屋組・E土台・F斜材(筋交いなど)・G床版・H屋根材・I横架材の構造耐力上主要な部分に瑕疵がある場合や、J屋根・K外壁・K開口部からの雨水の浸入がある場合は、補修請求、損害賠償請求、または、契約の目的を達成できない場合は、契約の解除ができます。



瑕疵とは、目的物が契約に定められた内容や社会通念上必要とされる性能を欠いていること。

瑕疵担保責任は建設業者、宅建業者等の事業者に限らず、一般の売主も責任を負います。





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