住まいづくりの知識上手面/住まいづくりに必要な図面(設計図面)


 住まいづくりでの重要な図面?

住宅を建てる上で、さまざまな図面が必要です。図面には建築主(依頼者)と建築会社(請負者)の間で相互の食い違いがないように図面を作成し工事請負契約を締結するために作成される契約図面。 どの様な工事をするのか工事現場の監督や職人さんに伝達するために必要な実施設計図面。また 役所に申請するための確認申請図面などが作成され、住まいづくりの基本となる大変重要なものです
その図面をもとに建物が建てられるていくわけですから、図面内容が曖昧であったり、打ち合わせした内容が盛り込まれていなかったり、また 手を抜いて作成されなかったりすると「手抜き工事」や「欠陥住宅」など、トラブルの元となります。
また、設計施工で請負っている住宅メーカーや工務店の場合は、建築主に構造図や詳細図などの重要な図面を渡さない傾向にあります。これでは建築主には、工事が進み建物が形に現われても、正しい施工が行われているのか解りません。
「契約前にどれだけの図面が用意され、建築主に提出してもらえるのか?」必ず確認をしておきましょう


図面に記載されている内容は、専門性が高く一般の方には解り難いですが、構造関係の図面や仕様内容が記載された重要な図面は必ず依頼先より提出してもらい、内容の確認を行いましょう。・・・・・・(欠陥住宅・手抜き工事防止対策)

また 第三者の専門家に内容のチェック(・契約図面実施設計図)を依頼する事も欠陥住宅を防ぐ手段としてお勧めいたします。

下記に依頼先別の契約時に用意される図面と着工前までに用意される実施設計図面の一覧表を掲載していますので参考にして下さい。


A,図面の種別(木造軸組工法の場合)

住まいづくりで作成される図面(表−1)
図面名称 契約時 実施設計図 重要図面 備 考
住宅メーカー 工務店 設計事務所 住宅メーカー 工務店 設計事務所








【敷地調査報告書】 × ×  
特記仕様書 × × × × ※1
設計概要書 ※2
仕上表  
配置図    
平面図   各階
屋根伏図 × × × ×   ※3
立面図    
断面図    




矩計図 × ×  
平面詳細図 × × 各階
展開図 × ×    
天井伏図 × × × ×   ※3
建具リスト × × ×   ※4
階段詳細図 × × ×    
部分詳細図 × × ×  
家具図 × ×    




【地盤調査報告書】 ※5 ※5 ※5  
基礎伏図 × ×  
1階床伏図 × × 土台伏図
各階床伏図 × × 各階梁伏図
小屋伏図 × ×  
軸組図 × × ×  
基礎詳細図 × ×  
構造基準図 × × × 構造納まり図
金物位置図 × × ×  
金物リスト × × ×  
【壁量計算書】 × × 【●】 【●】 【●】 【●】  
【構造計算書】 × × ※6 ※6 ※6 ※6  
設備図 外部給排水図  ※7
設備位置図    
照明器具リスト × × ×    
電気配線図 × × × ×   ※3
給排水配管図 × × × ×   ※3
ガス配管図 × × × ×   ※3
その他 住設機器図 × ×    
外構図    

注)

・●作成される ×作成されない △バラツキがある □特殊な場合のみ作成 ■工事範囲内は作成 重要図面

・図面名称に記載している【  】内は、書類・資料関係です。

・建築条件付き宅地の場合の実施図面は、確認申請用の図面程度しか用意されない場合が多い。
              (配置図・平面図・立面図・断面図の縮尺1/100程度の図面)

・※1 住宅金融公庫の仕様書を準用する場合が多い。

・※2 設計概要書は仕上表と併記する場合が多いです。

・※3 作成されない場合が多い。

・※4 平面詳細図に仕様を記載し作成されない場合が多い。

・※5 更地の場合は工事請負契約前に実施。建替え等既存建物がある場合は建物解体後実施。

・※6 3階建ては必須。2階建ては行わない場合が多い。(2階建てでも構造計算を行う事をお勧めします。)

・※7 配置図 若しくは 設備位置図に併記される場合があります。



 図面の記載内容


 1,【敷地調査報告書】

プランを計画する前に、敷地の状況・条件を調査しプラン・見積り作成の基本となる資料です。また、その調査内容を建築主に報告するために資料が作成されます。

調査内容現地調査・方位・敷地境界線・敷地形状・敷地面積・レベル・道路との関係・道路の幅・隣地との関係・隣地建物及び窓の位置・給排水及びガス引込み状況・電気引込み状況などを調査
 役所調査・用途地域・その他地域地区・申請の流れなどを調査

 2,特記仕様書

住宅金融公庫仕様書

各工事毎の施工上の注意点や建物に使用される各材料(特に下地材等)の仕様・グレード・品質の程度 及び 図面に表現し難い内容を言葉で表した図面。一般的な住宅の場合は作成されず、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の工事共通仕様書(公庫の各支店・銀行などで販売されています。但し販売していない銀行窓口もあります。)を準用する場合が多く、また、住宅メーカーの場合は、社内資料としてマニュアルが用意されていますが建築主には提出されない場合が殆どです。


各材料の仕様・グレード・品質の程度は大変重要な項目です。特記仕様書が作成されない場合は、必ずその他の図面に明記してもらいましょう。

下記に、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の仕様書を紹介しておきます。


 木造住宅工事仕様書

 枠組壁工法住宅工事仕様書

 鉄筋コンクリート造・鉄骨造・補強コンクリートブロック造〈補強セラミックブロック造〉住宅工事仕様書―全国版

 フラット35技術基準等の解説


 3,設計概要書

建物の所在地・敷地面積・敷地条件・建物の工法・階数・延べ床面積・建築面積・基礎形式・構造材の仕様・断熱性能のレベル・防火性能のレベル等各性能のグレードなど、建物の概要を言葉で表した図面。仕上表 若しくは配置図などと兼用で作成される場合があります。


 4,仕上表

建物の外部廻り 及び 内部に使用される仕上材の名称・品番を言葉で表した図面。


 5,配置図

敷地に対して建物の配置を表した図面。1階の平面図と兼用に作成される場合が多いです。


 6,平面図

床面より1.2m程度の高さで、水平面を切断して見下ろした図面。縮尺1/100で、部屋の配置や広さ・動線・使い勝手・建具の開き勝手などの建物の平面的概要を表した図面です。


 7,屋根伏図

建物の上空から見下ろして、屋根の形状を表した図面です。

屋根形状が複雑な場合や屋上を利用する場合に作成されますが、一般的な建物は作成されない場合が多いです。


 8,立面図

東西南北の4方向から見た建物の姿図。縮尺1/100で、建物の立面的形状・バランス・窓の位置や雨戸・面格子など、建物の立面的概要を表した図面。


 9,断面図

建物を地面に対して垂直に切断して見た姿図。縮尺1/100で、建物の高さ形状・床高・天井高・軒高など、建物レベルの概要を表した図面。


10,矩計図(かなばかりず)

建物の高さ関係の納まりを表した詳細図面。縮尺1/30若しくは1/50で、基礎・床組み・小屋組み・バルコニー・建具・軒先などの寸法・納まり・仕様を表した重要な図面。住宅メーカーは商品毎に標準矩計図を作成し運用されています。


11,平面詳細図

平面図を縮尺1/50で細かく表した詳細図面で、構造材・建具・住設機器などの位置や寸法・納まり・仕様を表した重要な図面。


12,展開図

部屋の中央部から壁面を見た姿図。縮尺1/50で、部屋の空間形状・仕上・建具の位置と大きさなどを表した詳細図面。


13,天井伏図

床面より1.2m程度の高さで、水平面を切断して天井面を見上げた姿図。縮尺1/100で天井の形状・仕上を表した図面で、一般的な住宅の場合は作成されない場合が多いです。


14,建具リスト

外部建具及び室内建具の形状・サイズ・仕様などを表した図面。建具の姿図は縮尺1/50で、展開図を作成する場合は建具リストを省略し、平面詳細図に形状・サイズ・仕様・ガラスの種別を明記する場合が多いです。住宅メーカーでは、標準建具の図面が用意され運用されています。


15,階段詳細図

階段部分の形状・寸法・納め・仕様を表した詳細図面。縮尺1/30で、特殊な階段の場合には作成されますが、一般的な階段は省略されている場合があります。住宅メーカーでは標準の階段詳細図が作成されていますが、建築主には提出されない。


16,部分詳細図

矩計図や平面詳細などで表現できない部分の納まりを表した詳細図面。縮尺1/5〜1/30で、特殊な場合を除き作成されません。住宅メーカーは標準納まり図が作成されていますが建築主には提出されません。


17,家具図

カウンター・収納ボックスなど造り付けの家具(既製品以外の家具)を設ける場合に作成される図面で、家具の形状・サイズ・仕様が明記された図面。


18,地盤調査報告書

地盤の強さを調査し建築主に報告する書類。地盤の強度により基礎補強・地盤改良が必要で、建物の耐震性・耐久性の角度から大変重要な資料です。


19,基礎伏図

建物の基礎を平面的に表した構造図面。縮尺1/100で基礎の平面形状・基礎の連結状況・アンカーボルト位置・埋め込みホールダウン金物位置・メンテナンス用の人通口の位置・防湿対策などが明記され大変重要な図面です。


20,1階床伏図(土台伏図)

1階の床組み・土台・柱を平面的に表した構造図面。土台・大引・床束・柱などの配置・寸法・継ぎ手位置・樹種や耐力壁の種別などを表した大変重要な図面です。

金物位置図が作成されない場合は、この図面に金物の配置と種別が記入される。


21,各階床伏図(梁伏図)

梁伏図とも言い、各階床の骨組みを平面的に表した構造図面。梁・柱などの配置・寸法・継ぎ手位置・樹種や耐力壁の配置などを表した大変重要な図面です。

金物位置図が作成されない場合は、この図面に金物の配置と種別が記入されます。


22,小屋伏図

小屋組みを平面的に表した構造図面。小屋梁・小屋束・母屋・棟木・垂木などの配置・寸法・継ぎ手位置・樹種などを表した大変重要な図面です。

金物位置図が作成されない場合は、この図面に金物の配置と種別が記入されます。


23,軸組図

柱・梁・小屋・耐力壁などの構造骨組み 及び金物の配置を立面的に表した構造図。


24,基礎詳細図

基礎の断面形状を表した構造詳細図。基礎の断面寸法・配筋のサイズ、ピッチなどを表した大変重要な図面です。

基礎詳細図を基礎伏図に併記する場合が多いです。


25,構造基準図

構造図で表せない構造部材の納まりや施工対応の注意点などを明記した大変重要な図面です。特記仕様書が作成されない場合は、構造関係の仕様を構造基準に明記されます。

建物の強度を確保するための重要な、コンクリート強度・鉄筋の品質・開口補強の対応・ホールダウン金物・筋かい・面材耐力壁などの取付け納まり図や金物の設置基準・釘の仕様とピッチなど、構造関係の施工基準が記載された大変重要な図面です。おろそかにすると施工不良や欠陥住宅につながる項目です。この図面内容を見れば技術力や施工能力が一目瞭然に解る重要な図面です。


26,金物位置図

構造材の接合及び補強に使われる構造金物の設置位置と金物の種類を表した重要な図面です。金物位置図を省略し各床伏図に記入する場合も多いですが、煩雑になり間違い易いので金物位置図として単独で作成してもらう事をお勧めします。


27,金物リスト

構造材の接合や補強に使われる構造金物の形状や耐力を表した図面。金物リストを省略し構造基準図に明記される場合もあります。


28,壁量計算書

床面積及び外壁面積による必要壁量を算定した資料で、偏心率 若しくは 壁量充足率による四分割法から算定された建物の釣合いよい配置がチェックされた重要な資料です。


29,構造計算書

建物の安全性を構造計算にて設計された資料。3階建ては構造計算は必須ですが、2階建ての場合は仕様規定 若しくは構造計算のどちらか選択できます。仕様規定で対応の場合は構造計算書は作成されません。


30,外部給排水設備図

建物外部の雨水・汚水・雑排水のルートを記載された図面。


31,設備位置図

照明器具・スイッチ・コンセント・TVターミナルなどの電気設備や給水・給湯・ガスコックなどの位置を記入された図面。


32,照明器具リスト

請負契約内に含まれる照明器具の姿図・仕様が明記された図面。


33,電気配線図

電気設備の配線が記入された図面。一般的な木造住宅の場合は省略される場合があります。


34,給排水設備配管図

建物内部の給排水の配管ルートが記入された図面。一般的な木造住宅の場合は省略される場合があります。


35,給排水設備配管図

建物内部の給排水の配管ルートが記入された図面。一般的な木造住宅の場合は省略される場合があります。


36,住設機器図

システムキチンやユニットバスなどの住宅設備機器の仕様・形状・サイズが記載された図面。各機器のメーカーが図面を作成します。


37,外構図

門・塀・カーポートや植栽などの外部工事の内容が記載された図面。




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