住まいづくりの知識上手/建築基準法編(どれぐらいの規模の建物が建てられるか?)

家が建てられる最低敷地条件

幅4m以上の道路に2m以上、接した敷地でなければ家は建てられません。(接道義務)

接道義務

道路に接していない敷地には建物は建てられません、又 道路があっても2m以上、接しなければ建物は建てられません。尚 道路の幅が4m未満の場合は、敷地面積は減りますが道路の中心から2m後退したラインを道路境界線(セットバック)とすれば家を建てることは可能です。もし、接道していない敷地の場合は、接道義務を果たすために必要な土地を借地する必要があります。

※道路とは建築基準法で定められた道路をいう。


●一つの敷地に二つ以上の建物は建てられません。(可分不可分の制限)


一つの敷地に親世帯と子供世帯の家を別々に建てる事は出来ません。その場合は敷地を分割して、各分割した敷地に対して接道義務や建ペイ率・容積率などの制限がかかります。
但し トイレ・キッチン・浴室などがない離れや、住宅の用途に必要な物置き・ビルトインガレージなどは同一敷地内に建築することができます。


●住宅が建てられない用途地域があります。(用途地域の制限)


用途地域の種別によって住宅・併用住宅(店舗付き住宅など)が建てられない地域や、希望する大きさの住宅が建てられない場合があります。今住んでいる敷地の用途地域は、管轄の市役所で調べることが出来ますので、1度調べてみてはいかかがですか。

建物の規模(面積)に制限があります。

建築面積の制限があります。(建ペイ率の制限)

建築面積

敷地に指定された建ペイ率を超えて建築することはできません。

建ペイ率とは、建築面積を敷地面積で除した割合で、この比率が敷地に指定されている建ペイ率を超えないこと。指定されている建ペイ率は用途地域で何種類かあり、各行政で地域性を考慮されて指定されています。一般的な建ペイ率は用途地域リストを参照して下さい。

建築面積/敷地面積=建ペイ率
55u/100u=55%≦指定ペイ率60%=OK


二つ以上の道路に接している場合(角地など)は、敷地に指定されている建ペイ率に10%加算ができ、通常より広い建物が建てられます。


延べ床面積にも制限があります。(容積率の制限)

延べ床面積

敷地に指定された容積率を、超えて建物を建てることはできません。

容積率とは、各階の床面積の合計を敷地面積で除した割合で、この比率が敷地に指定されている容積率を超えないこと。指定されている容積率は用途地域で何種類かあり、各行政庁で地域性を考慮されて指定されています。一般的な容積率は用途地域リストを参照して下さい。

延べ床面積/敷地面積=容積率
(1階55u+2階55u)/100u=110%≦指定容積率200%=OK


容積率

前面道路の幅によって指定されている容積率以下に制限される場合があります。

前面道路の幅が12m未満の場合は、前面道路の幅に用途地域に規定されている係数(0.4若しくは0.6)を乗じた値が、指定されている容積率を下回る場合は、不利側の容積率(道路の幅で決まる容積率)が適用されます。
係数値は用途地域リストを参照して下さい。

指定容積率が200%でも、前面道路が4mで係数が0.4の場合は、4m×0.4=160%となり、不利側の容積率160%までしか建てられません。



ビルトイン・ガレージは、容積率算定の延べ床面積からビルトイン・ガレージの面積を減じることができます。但し、減じることのできる面積は、延べ床面積(ビルトイン・ガレージ面積を含む)の1/5までのビルトイン・ガレージ面積です。

容積率緩和


また、住宅の用途に供する地階で、地盤面からの高さ1メートル以下に天井が設けられたものについては、その建築物の床面積の合計の3分の1までは、容積率の計算のもととなる延床面積に算入されません。(建築基準法第52条3項)。マンションの機械室やトランクルームなどが地階にある場合も住宅の用途に供するものとみなされます。


建物の規模(高さ)に制限があります。

用途地域の種別によって、建物の高さに制限があります。(絶対高さの制限)

絶対高さ

用途地域の第1種低層住居専用地域 または 第2種低層住居専用地域内の建物は、10m若しくは12m(行政で指定されています)を超えて建物を建てることは出来ません。



前面道路の幅によって、建物の高さが制限されています。(道路斜線の制限)

道路斜線

前面道路の幅に、用途地域の種別で定められている係数を乗じた勾配のライン(道路斜線)を、超えて建物を建てることはできません。前面道路の幅が広い程、高い建物が建てられます。道路幅に乗じる係数は用途地域リストを参照して下さい。

道路斜線の起点は、向かい側(対側)の道路境界線が起点となりますが、図−7(A)部の道路境界線と建物との空き寸法分、反対側の道路境界線が後退した位置が起点となる緩和措置があります。道路境界線から少しでも空けて建てると道路斜線は有利になります。また外構工事で塀を設ける場合は、高さ1.2m以上の部分を解放された形状のフェンスなどにしなければ、緩和措置は適用できませんので注意して下さい。



用途地域よって北側の高さに制限がかかっる場合があります。(北側斜線の制限)

北側斜線

低層住居専用地域・中高層住居専用地域では、真北方向の敷地境界線までの距離に係数1.25(※0.6)を乗じて、基本数値(低層住居5m・中高層住居10m)を加算したライン(北側斜線)を超えて建物は建てられません。

第1種・第2種低層住居専用地域    (真北距離×1.25)+ 5m
第1種・第2種中高層住居専用地域  (真北距離×1.25)+10m
※地域により係数0.6の場合もありますので行政に確認が必要です。


外壁後退が必要な場合があります。

用途地域で外壁後退が指定されています。(外壁後退の制限)

外壁後退

第一種低層住居専用地域 及び第二種低層住居専用地域で、都市計画にて外壁後退距離が定められている場合があります。後退距離は1m 若しくは1.5mで、敷地境界線から外壁の仕上げ面までの寸法です。用途地域が第一種・二種低層住居専用地域は、事前に確認する必要があります。

緩和規定・・・・・外壁の周長3mまでは認められています。



建築協定で外壁後退などが指定されている地域があります。(建築協定の制限)

建築協定に指定された地域は、建築基準法よりさらに厳しい制限があります。
建築協定とは、建築基準法に基づくもので、建築基準法で定められた基準に上乗せする形で、地域の特性等に基づく一定の制限を、地域住民等が自ら設けることのできる制度です。そして、それをお互いが守っていくことによって、将来にわたって地域の住環境を保全し、魅力ある個性的なまちづくりを進めるための制度です。 なお、建築協定を結ぶには、協定を結ぼうとする区域内の土地の所有者等の全員の合意が必要で、市長の認可を得て成立されています。特に分譲地などの、計画的に整備された地域に設定されていることが 多いです。

規制されている主な内容。

外壁後退・建物の階数・外構(門・塀・植栽)・区画の変更制限など。


民法で建物と敷地境界線までの距離に規制があります。(相隣関係の制限 民法第234第1項)

建築基準法で、外壁後退が指定されていない地域でも、民法234条では相隣関係として敷地境界線か50cm空けて建物(外壁仕上面)を建てることが規定されています。但し 隣地の方の同意があれば問題はありません。
特に都心部の狭小地の場合には、出来るだけ広く建物を建てたいと思うのが常ですが、隣家の建物の空き寸法・建替えの場合は現在の建物の空き寸法(2階建から3階建への建替えは要注意)などを考慮して計画してください。また 同意書が取れない場合で、50cmをきる場合は、専門家に相談されることをお勧めいたします。

日影規制がかかる場合があります。

用途地域と建物の高さの関係で日影規制がかかる場合があります。(日影規制)

第1種・第2種低層住居専用地域で、軒高が7mを越える建物、または3階建て以上の建物が、その他の用途地域は、建物の高さが10mを超える場合に日影規制がかかります。
日影規制とは、冬至に建物が北側に落とす影の時間を規制することで、建物の高さや北側の敷地境界までの距離などが制限されます。
建物の北側が道路や河川・公園などの場合は、日影規制対象の建物 でも日影規制をクリアーできますが、一般的な敷地の場合は日影規制の対象から外れるように、建物の高さを規定内に抑えた方が無難です。

法的な採光・換気が必要です。

居室には、床面積の1/7以上の有効開口面積が必要です。(居室の採光規制)

採光斜線

居室には、その床面積の1/7以上の有効開口面積が必要です。ただ単に、床面積の1/7以上の大きさのサッシを設ければ良いものではありません。建物と敷地境界線までの距離によって、有効開口面積は変わってきます。

居室とは、継続的に使用される部屋で、納戸・浴室・洗面・脱衣・トイレ・収納・物入などは居室扱いされません。

有効開口面積とは、実際の開口面積に採光補正係数を乗じた面積です。

採光補正係数とは、採光関係比率に用途地域別に定められた係数を乗じて別途定められた値を減じた係数となります。
採光関係比率とは、軒先から敷地境界線までの水平距離(D)を軒先高さから開口部中心までの垂直距離(H)で除した値です。


サッシの開口面積×採光補正係数=有効開口面積≧居室の床面積×1/7=OK

採光補正係数=(採光関係比率× 6)−1.4  住居系用途地域
      =(採光関係比率× 8)−1.0  工業系用途地域
      =(採光関係比率× 10)−1.0  商業系用途地域

採光関係比率=水平距離(D)÷垂直距離(H)

【参考例】 仮に住居系の用途地域で、サッシの幅1.6m 高さ2.0m(図−10の1階)の場合
   6帖の床面積     ・・・・2.73m×3.64m=9.94m2
   6帖の必要有効開口面積・・・・9.94m2×1/7=1.42m2以上必要
   サッシの開口部面積  ・・・・1.6m×2.0m=3.20m2
   3.20m2{(1.82m/4.60m)×6−1.4}=3.12m2≧必要有効開口面積1.42m2=OK

上記の場合で、どこまで隣地境界線に近づけて建てることが可能か?
(必要有効開口面積/サッシの開口部面積+1.4)×垂直距離/6=敷地境界線までの距離(D)

   {(1.42m2/3.20m2)+1.4}×4.60m/6=1.42m(軒先)まで建物を寄せて建てる事が可能。

特に3階建てで、1階に居室を設ける場合には、居室の法的な採光不足が発生します。
下記に、3階建ての場合で、1階居室が法的採光不足にならないための、敷地境界線から建物の軒先必要寸法(D)の目安を記載していますので、プラン検討時の参考にして下さい。

●採光による3階建て住宅の敷地境界線からの必要空き寸法目安表
  住居系用途地域 工業系用途地域 商業系用途地域
6帖居室 2.25m 1.32m 1.06m
8帖居室 2.43m 1.45m 1.16m

・1階居室のサッシは、掃き出しサッシ1620、 垂直距離(H)を7.3mと仮定。
・上記の距離寸法は、建物の軒先部までの寸法です。
・90cm以上の縁側がある場合は適用できません。
        (採光補正係数に0.7を乗じることになり不利になります。)


採光不足の場合の対応策

・サッシの開口部を大きくする。
・3階壁面をセットバック(後退)する。
・トップライトの設置−採光補正係数が3倍扱いできる。(有利になります)

居室には、床面積の1/20以上の有効開口面積が必要です。(居室の換気規制)

住宅の居室には、より良い住環境を確保するために、その居室の床面積の1/20以上の解放できる開口が必要です。
引き違いサッシや上げ下げ窓等は、サッシ面積の1/2が解放できる換気に必要な開口部面積になります。

建物の仕上や構造に規制がかかる場合があります。

防火対策が必要な地域があります。(防火・準防火地域の制限)

延焼のおそれのある部分

市街地は、住宅の密集化が著しく、火災による大きな被害が予想されます。
都市計画法では、市街地を防火地域と準防火地域に指定し、火災の発生を未然に防ぎ、万一火災が発生した場合、延焼をくい止める目的で建物の構造が規制されています。

●防火地域での建物制限

階数が3階以上、又は 延べ床面積が100uを超える建物は、耐火建築物・その他の建物は準耐火建築物としなければなりません。この地域で3階建てを建てる場合は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造などの耐火建築物とし、木造で3階建てを建てることは出来ません。また、2階建てで、延べ床面積が100u未満の場合は、木造で建てることはできますが、準耐火建築物とするために強化石膏ボードなどを使用した防火措置を講じることが要求されます。



●準防火地域での建物制限

階数が4階以上の建物は耐火建築物が要求され、3階建ての場合は準耐火建築物が要求されます。2階建て以下の建物は準耐火建築物までは要求されませんが、延焼のおそれのある部分を防火構造とする必要があります。



●延焼のおそれのある部分の規制

延焼のおそれのある部分の開口部には網入りガラスや防火ダンパーなどの規制がかかります。




ホーム住まいづくりの知識上手トップマイホームづくりの流れ | マイホームづくりの依頼先 | 工法・構造 | 総費用(予算計画)法 規(建物の規模)法 規(用途地域の制限) | 品確法(住宅性能表示) | 見積参考例マイホーム予算計画ローコスト住宅の手法木材の基礎知識マイホームづくりに必要な図面施工の品質 | 住宅専門用語建築基準法住まいづくりサポート




サイトマップ