住まいづくりの知識上手/施工品質(構造)

基礎のコンクリートについて

コンクリートの強度は?

コンクリートの品質

基礎に使用されるコンクリートは、JIS A 5380(レディーミクストコンクリート)に規定されたポルトランドセメントとし、JIS認定工場(生コンクリートプラント工場)で製造された生コンクリート、設計強度は24N/mm以上とする。コンクリート打設時の気温が2℃〜10℃未満の場合は27N/mmにコンクリート強度の補正を行なう。
スランプは18cmとする。

※スランプとは、コンクリートの軟度を表す数値です。数値が大きい程軟らかく施工性が良くなるがコンクリート強度の低下を招く。現場にてコンクリートの4週強度確認のテストピース採取とスランプ試験が通常行なわれる。


コンクリートの養生期間は?


コンクリート打込み終了後、型枠を早期に外すとコンクリートの強度が確保できないため、十分に養生する必要があります。目安としてコンクリート打ち込み終了から28日間の平均気温が15℃以上の場合は中3日、5℃以上の場合は中5日、5℃未満の場合は中8日間を型枠の存置期間として確保し、コンクリートに悪い影響を与えないようにする。

※コンクリート打ち込み後は、直射日光、寒気、風雨などを避けるために、シートなどの養生が必要です。



基礎の鉄筋について

鉄筋の品質は?


鉄筋は、JIS G3112(鉄筋コンクリート用棒鋼)若しくはJIS G3117(鉄筋コンクリート用再生棒鋼)の規格品とし付着力を上げるために異形鉄筋(凹凸がある鉄筋)が一般的に使われます。

●鉄筋の空きは?

鉄筋のあき寸法

鉄筋相互の間隔が狭すぎるとコンクリートがスムーズに流れません。そのために鉄筋相互の最低あき寸法を確保する必要があります。
下記の値のうち最大の数値のあき寸法が必要です。
     1),コンクリートに入る粗骨材の最大寸法の1.25倍。
     2),異形鉄筋の径(呼び名の数値)の1.5倍。
     3),25mm。

※粗骨材とは、セメントに混入する砂利・砕石を言い粗骨材の最大寸法は20mmが一般に使用されています。


鉄筋のかぶり厚さは?

鉄筋のかぶり寸法

鉄筋が腐食しないために、鉄筋にはコンクリートのかぶり厚さを十分に確保する必要があります。
基礎底版下は捨てコンクリートを除いて60mm以上、その他土に接する部分は40mm以上、土に接しない部分は30mm以上のかぶり厚さが必要です。

※基礎 及び擁壁で直接土に接する部分のかぶり厚さには、捨コンクリートの厚みは含みません。また、杭基礎を行なう場合は杭の天端からの寸法がかぶり厚さとなります。


鉄筋の定着と重ね継ぎ手長さは?

鉄筋の定着と重ね継ぎ手

部位が変わる位置(基礎立上り部と基礎底版部)や角度が変わる部位には、一体性を持たせるために必ず相手の部位に鉄筋をのみ込ます(定着)必要があります。
定着の長さはコンクリートの設計基準強度・鉄筋の種類・フックの有無・部位によって規定されています。
また、配筋の途中で鉄筋の継手を設ける場合は、重ね継手(※1)とし、継手位置は、応力の小さい位置(支点間の1/4) 及び 隣り合う継手が同じ位置に重ならないように重ね長さの1/2以上離れた位置で継ぎ手を設けることが望ましい。


(※1)
住宅に太いサイズの鉄筋は使用されませんが、鉄筋の径が19mm以上を使用する場合は、コンクリートの付着力が低下する恐れがあるので、重ね継手よりもガス圧接継手をお勧め致します。


●鉄筋端部のフックは必要か?

鉄筋フック

フックとは付着力を上げるため、鉄筋の端部に折曲げをつけることを言い、凹凸の無い丸鋼を使用する場合は端部にフックを付けるように義務つけられていますが、異型鉄筋を使い、2階建ての木造住宅(仕様規定対応物件等※2)は特に付けることは求められていません。

(※2)
但し、性能表示制度を使う場合や構造計算にて対応する場合には、鉄筋の端部にフックを設ける必要があります。出来れば2階建ての場合でも、基礎の立ち上がりに設ける補強筋の端部(基礎の天端部)にフックを設けることをお勧めいたします。


基礎の形状について。

布基礎の形状?

布基礎の形状

一般的に地盤の地耐力が50kN/u以上に採用される布基礎は逆T字型の形状で、建物の外周部 及び 内部の耐力壁・主要な間仕切り壁の下部に連続して設けます。

基礎で一体に連結された区画面積は910mmモジュールでは24u(4P×6P)以内とし、メーターモジュールの場合は16u(4P×4P)以内程度とし、区画面積が大きくならないように基礎を設ける。

※布基礎の各部の寸法は、基礎の立ち上がりをGL+400mm以上とし、底盤の寸法は、地盤の地耐力等を考慮して巾を広げて対応する。

※公庫基準では、基礎の立ち上がり部の厚みは120mm以上となっていますが、鉄筋のかぶり寸法関係から135mmを確保するようにお勧めいたします。


ベタ基礎の形状?

ベタ基礎の形状(外周部)

住宅の基礎形式には一般的に布基礎とベタ基礎とがありますが、金額的に大きな差がありませんし、当然ベタ基礎の方がしっかりしていますので、出来れば木造2階建てでもベタ基礎をお勧めいたします。

ベタ基礎の形状は、地盤面から400mm以上の立上がりを設け、立上がりの厚みは120mm以上、かつ土台の幅以上とし、根入深さは地盤面より240mm以上、かつ、凍結深度よりも深くする必要があります。底版厚さは150mm以上(ダブル配筋は180mm以上)とし、建物の床下部は底版の上端を地面より50mm以上あげた位置に設け床下の湿気対策を施す。


※上記は仕様規定での最低限の仕様です。荷重算定を行い建物の力の流れを明確に判断して、構造的バランスのよい建物の設計を行う構造計算対応は別途計算によります。
【図−1】に示す基礎形状は当事務所にて仕様規定で対応する場合の標準の基礎形状を掲載しています。

※公庫基準では、基礎の立ち上がり部の厚みは120mm以上となっていますが、鉄筋のかぶり寸法関係から、外周部の基礎立ち上がり部の厚みは135mmを確保するようにお勧めいたします。


●基礎の配筋は?

基礎の形状(内部)

基礎の立上がり部の主筋として径12mm以上の異形鉄筋を、立上がり部の上端及び下端の底版部にそれぞれ1本以上(主筋間隔300mm以内)配置し、かつ 補強筋と緊結させる。立上がり部の補強筋は径9mm以上の鉄筋を300mm以下の間隔で配置する。
底版の配筋は、径12mm以上の異形鉄筋をタテ・ヨコ250mm以内の間隔で配置する。

※上記は仕様規定の最低限の仕様です。荷重算定を行い建物の力の流れを明確に判断して、構造的バランスのよい建物の設計を行う構造計算対応は別途計算によります。
【図ー1】【図ー2】に示す配筋は当事務所にて仕様規定で対応する場合の標準の配筋仕様です。


開口部の補強は?

開口補強

床下換気口やメンテナンスのための人通口は、基礎の立上がり部に開口が開いた状態となり構造的に弱点となります。基礎パッキン工法を採用すれば床下換気口は不要となりますが、メンテナンス対応の開口はどうしても必要です。
基礎の弱点を補うために、開口部まわりには補強筋(D13以上の横筋とD10以上の斜め筋)を設け弱点を補う必要があります。

また 基礎を貫通する設備配管のためのスリーブ管も基礎の弱点となりますので補強が必要です。


配管基礎貫通

住宅保証機構のベタ基礎配筋 及び開口補強の施工基準はこちらを参照下さい。


基礎のアンカーボルトについて

アンカーボルトの品質は?

アンカーボルト

アンカーボルトは径12mm(3階建ては16mm)以上で品質及び性能が明示(Zマーク表示)されたものを使用する。また 基礎への埋め込み長さは240mm以上としアンカーボルトの先端は、土台の上端よりナットの外にネジが3山以上でるように固定する。

尚 最近では1階にも構造用合板を使用する根太レス工法が多用され、土台の断面欠損になる座堀りが不要で、アンカーボルトの頭が土台から出ない座付きイサートナットが使われるようになりました。

●アンカーボルトの必要な箇所は?

アンカーボルトは建物のズレや引き抜き(引張り力)を防ぐために設ける大変重要な金物です。
下記内容にアンカーボルトが必ず必要です。

1,耐力壁(筋かい・面材耐力壁)の取付く両端の柱の下部。但し ホールダウン専用アンカーボルト(埋込みホールダウン金物)が取付けられる場合は省略できます。
2,土台の切れ箇所や土台の継ぎ手・仕口箇所の上木端部(男木)。
3,土台に設ける座付きホールダウン金物の近接(150mm内外の位置)。
4,上記以外の部分でアンカーボルトの間隔が2階建ての場合は2.7m以内、3階建ての場合は2m以内の箇所。

アンカーボルトの位置は?

耐力壁 及び 土台の遇角部には出来るだけ柱に近接してアンカーボルトを設けることが望ましいです。
しかし、土台の継ぎ手 及びホールダウン金物・筋かい金物が取り付くケースが多く、施工者は基礎工事の配筋前までに、土台の継ぎ手位置 ・耐力壁による接合金物の種類と位置 ・耐力壁の種別などを把握し、アンカーボルトの納まりチェックを行うことが重要です。

アンカーボルトの位置

ホールダンアンカー

ところが、このチェックを施工者は怠ったり、また、チェックする技術レベルがなく、アンカーボルトが土台の継ぎ手部にかかったり、耐力壁に必要なホールダウン金物や筋かいと干渉したり問題が多く発生しています。
また 阪神・淡路大震災以後、平成12年の建築基準法の改正により、基礎に埋め込むホールダウン・アンカーボルト(埋め込みホールダウン金物)【図−8】が必ず必要になりました。
この金物は基礎に埋め込むために施工精度が要求されますので、アンカーセットの対応も注意を促す必要があります。

耐力壁による柱に必要な接合金物にホールダウン金物が必要な場合に、15kN用以上は土台が引張力に耐えられないので、基礎に埋め込んでホールダウン金物(ホールダウン・アンカー)を設けるようになります。


ホールダウンアンカー

接合金物について

●金物の品質は?

木造軸組工法住宅を対象に(財)日本住宅・木材技術センターで、数々の強度検査の結果、厳格な基準をクリアーした高品質な金物にZマーク認定が与えられています。Zマーク表示金物は釘やボルトに至まで全ての金物に防錆処理の亜鉛メッキが施されていますので耐久性にも安心でき、このZマーク表示金物の使用が義務付けされています。
また Zマーク同等認定品として(財)日本住宅・木材技術センターが認めた金物も使用できます。


どこに、どのような金物が必要か?

金物を使用する箇所は、同じ部材同士の継ぎ手や仕口 及び 柱と梁 ・柱と土台などの各部材の接合部に必要です。その中でも、特に筋かいの接合部 及び耐力壁が設けられた軸組の柱(柱脚・柱頭)に設ける接合金物(耐力壁による金物)は、建物の耐震性に影響する重要な部位にあたります。

◎筋かいに設ける接合金物

使われる筋かいの種類によって接合金物が決められています。

詳しくは筋かいの接合金物の選定をご覧ください。


◎耐力壁が設けられた軸組の柱(柱頭・柱脚)に設ける接合金物  (耐力壁による金物)

柱の階数位置・柱の平面位置・耐力壁の種類等によって接合金物が決められています。

詳しくは柱の接合金物の選定(仕様規定)をご覧ください。
尚 N値計算による選定はこちらへ。


◎その他の接合金物・継ぎ手金物

小屋束・母屋・垂木などの接合金物 及び部材の継ぎ手金物は、その部位によって使い分けられています。

詳しくはその他金物の選定をご覧ください。


接合部に設ける金物は、仕様規定で定める規定に従って選定する方法と必要耐力を構造計算(許容応力計算)によって算出し選定する方法があります。

一般的には仕様規定で対応されていますが、仕様規定で対応できない耐力壁を使用する場合や柱の両端に耐力壁が取り付く場合には、N値簡易計算で対応する方法が効率的に金物が選定できます。

尚、仕様規定は簡易な方法で金物を選定できますが、プランに制約を受けたり、金物の個数が増え納まり上問題が発生すことが多く、構造計算で対応することをお勧めいたします。


接合金物は、建物の耐震性に重要な影響を与えます。
安心の住まいを手に入れるためにも、正しい金物が適切に施工されているか、自分の目でしっかりと確認するか、木造経験豊富な専門家の第三者にチェックしてもらうことをお勧めいたします。


※当事務所が設計する場合の木造住宅接合金物一覧表はこちらへ。


金物の設置方法は?

接合金物に使用する接合具は、釘・ボルト・ラグスクリュー・ビスなど、それぞれの接合金物に応じて、Zマークで決められた接合具にて、正しく取り付けが行なわれていなければ建物の耐震性は確保できません。
接合金物中で、ホールダウン金物が、筋かいにあたって筋かいを欠損させたり正しく施工されていない場合が多いので【図−10】に設置の対応を掲載いたします。

ホールダウン金物引き寄せボルト長さ

構造関係施工実例はこちらへ。

骨組みの木材についてはこちらへ。

構造材の欠損についてはこちらへ。

面材耐力壁等の開口補強についてはこちらへ。

木造(構造関係)の建築基準法はこちらへ。

施工チェックリストはこちらへ。




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