クロスや化粧合板などの仕上材の下には、一般的には下地材が設けられています。
主に使われている下地材は、床関係では床の剛性を上げるために、厚み24mm 若しくは 28mmの構造用合板が使われ、剛床工法が主流となっています。
また、壁・天井関係は、火に強く断熱性能に優れている石膏ボード(プラスターボード)が主に使われています。
また、洗面脱衣室などのように、水掛かりになる箇所では耐水合板・耐水ボードをできるだけ使うようにしましょう。
合板とは、一般的「ベニヤ板」とも呼ばれ、木材を0.5〜4mmに薄くむいた板(ラミナ)を木繊維を直行させながら積み重ね、接着剤で貼り合わせて1枚の板にしたものです。
合板には、大きく分けて仕上材として使う化粧合板(特殊合板)と、構造関係に使う構造用合板、下地材に使う普通合板、コンクリート工事に使うコンクリート型枠用合板(コンパネ)の4タイプの合板があります。
構造用合板には、強度を表す等級が設けられ、その使用箇所によって使い分けを行います。また、構造用合板以外にも、構造用パネル(OSBボードなど)、火山性ガラス質複層板、MDFボードなどが耐力壁材・下地材として使われています。
一般的な下地材や物入れには、普通合板(ベニヤ板と呼ばれる)が使われますが、水掛かりになる洗面脱衣室などは、耐水合板として1類(構造用合板は特類)が使われます。
構造用合板とは、建物の躯体を支える構造として用いられる合板のことで、建物の構造上重要な部位に使用する合板をいいます。
合板とは、薄くスライスした単板を数枚、接着剤で張り合わせたもので、単板の繊維方向が1枚ごとに交差するように張り合わせることで、強度を高めた建築材料です。
これを構造躯体に使えるようにさらに強度を高めたものを構造用合板と呼んでいます。
軸組工法や2×4工法(枠組壁工法)の木造建築物で、耐力壁、床板、屋根の野地板などに使用されています。
構造用合板には、JAS規格によって、接着剤の等級や表面の品質などについて細かい規定があり、JASの基準に合格した構造用合板にはマークがスタンプされています。
現在、住宅に使われているものとしては、9.0mm、12.0mm、15.0mmの厚さのものが主流ですが、近ごろでは、剛床仕様として根太を省略して作業の効率化をはかり、防音性や耐震性を高めることを目的とした、厚さ24mm、28mmの実付きの構造用合板を住宅に使用するケースも多くなってきました。
また、耐力壁として構造用合板を用いる場合は、厚み9mmが一般的に使われています。
耐力壁に用いる面材の厚みは、木造住宅/建築基準法・構造編の別表1、別表2を、また、剛床工法の床に用いる合板の厚みは、住宅性能表示/耐震等級・耐風等級の【存在床倍率 根太レス工法(剛床)】をご覧下さい。
構造用合板の強度による分類で、「1級」と「2級」があります。
1級のものは曲げ性能、面内せん断性能等について試験を実施し、特定の基準値を満たしたものを示し、2級のものはそうでないものを示します。
一般的に構造用合板は2級でもこれらの特性に優れているため、特別な用途でない限り、壁下地・床下地・屋根下地においては2級が主に使われています。
有害物質であるホルムアルデヒドの放散量を「F☆〜F☆☆☆☆」で表されています。
F☆☆☆☆の方がホルムアルデヒドの放散量が少なく安全な材用になります。近年では、シックハウス症候群への関心の高まりから、ほとんどF☆☆☆☆しか使われていません。尚、F☆☆☆以下のものは使用量に制限があります。
詳しくは、建物性能の基礎知識/空気環境性能をご覧下さい。
構造用合板の表面と裏面の品質をそれぞれ「A〜D」までの4段階で表されています。Aの方が節が少なく、Dの方は大きな節が多くあり、粗い仕上がりとなっています。一般的に下地材では見栄えは重要でないことから、C-Dのものが多用されています。尚、上記「床に使用された構造合板のJASマーク実例」では、構造用合板の表面がC、裏面がDを表しています。
構造用合板は構造上の主要な部分に使用されていることから、建物の耐久性に直接関係するもので、他の合板に比べて高い接着性が求められます。JASでは、構造用合板の接着程度として「特類」と「1類」の2種類に分類されています。
特類は屋外又は常時湿潤な状態にある場所に使用されるものを対象としており、接着剤はフェノール樹脂と同等以上の性能を有するものが使用され、また、1類は屋内において使用されるものを対象として、接着剤はメラミン・ユリア共縮合樹脂と同等以上の性能を有するものが使用されています。
普通合板とは、合板の表面に化粧を目的に天然木の単板(天然木化粧合板)を貼ったり、プリント加工したり、ポリエステル樹脂を塗布するなどをしていない木地のままのもので、JAS規定の構造用合板・コンクリート型枠用合板に該当しない合板をいいます。
普通合板は、「接着の程度」(耐水合板の程度)を1類、2類、「板面の品質」を針葉樹を使う場合はA〜D、広葉樹を使った場合は1等・2等、「ホルムアルデヒド放散量」をF☆〜F☆☆☆☆に分類されています。
また、普通合板には、一般的な普通合板以外に、建築基準法による内装制限の指定箇所に使用することのできる、難燃薬剤で処理し燃え難くした難燃合板、及び、防炎用の薬剤で処理した合板で、消防法により指定される展示会場・舞台などの仮設材料として使用できる防炎合板とがあります。
木造住宅で、普通合板が使用されるケースは、根太工法での床下地材、屋根下地材、洗面脱衣室などのCFシートで床を仕上げる場合のレベル調整用の捨張り材、手摺やタオル掛け 及び システムキチンの吊り戸棚などの取付け用の壁下地材、押入・物入などの床・壁・天井の仕上材として主に用いられています。
尚、普通合板に使われる樹種は、主に南洋材を用いたラワン合板と、内装材として用いられる国産材のシナ合板などがあります。また、近年 環境保全問題が提起され、南洋材の伐採規制によって、再生し易い針葉樹合板も多用されています。
構造用パネルとは、木材を砕いた削片に耐水性の高い接着剤を加えて加熱プレスし、パネル状に成型したもので、木造住宅の構造用部材として用いられるものをいい、構造用パネルとして多用されているものにOSBがあります。
このOSBとは、オリエンテッド ストランド ボード( Oriented Strand Board )の略称で、原木から切削された長方形の薄い木片 (ストランド)を、板状に重ねて高温圧縮成型した木質ボードです。
OSBは、強度をもたせるように計算されて木片(ストランド)が切削されており、合板と同じような交差積層による強度と剛性を備え、断熱性、気密性、防虫性にも優れています。
また、自然再生が容易な樹種(アスペン・ポプラ等)、小径木、間伐材(サザンイエローパイン等)を原料にし、森林資源の有効活用につながり、環境にやさしい材料です。
尚、OSBは、「構造用パネル」という名称でJAS規格が設けられています。
火山性ガラス質複層板とは、鉱物質繊維と火山性ガラス質材料を原料にした無機質の複層板で、「SVボード」とも呼ばれています。
代表的なものに、大建工業のダイライト(商品名)がそれにあたり、木材のように簡単に加工でき、高い強度と防火性を発揮し、透湿性にも優れるほか、無機質素材のため、腐りにくくシロアリにも強く、また、内壁の耐力壁として用いても、直接クロスが貼れるものもあり、木造住宅の耐力壁材として使われています。
また、火山性ガラス質複層板を基材としてその表面に化粧材を貼った不燃仕上材も商品化されています。
MDFは、木材を繊維状にほぐし、接着剤などを配合してボードに成型した「繊維板」の一種です。
欧米において木質資源の有効活用を図るために発達しましたが、近年日本においても、優れた品質特性から注目されています。
繊維板には、MDF「Medium Density Fiberboard」(中質繊維板)の他に、密度、製法の異なる、インシュレーションボードやハードボードがあります。さらに、繊維板以外の木質ボードとして、木材の細片から作るパーティクルボードがあります。
石膏ボードとは、プラスターボードとも呼ばれ、硫酸カルシウムの白色の結晶でセメントの原料となる石膏を板状に固めて芯材とし、その表面に紙を張ったボードで、石膏ボードとも呼ばれています。
耐火性、遮音性に優れ、下地材として使うものと、表面に化粧シートを張って仕上材として使うものがあります。
下地用の石膏ボードは、表面にクロスを貼ったり、ペンキを塗って仕上げるなど、殆どの住宅の壁・天井の下地材として用いられています。
下地材に用いる石膏ボード(プラスターボード)には、一般的に使うタイプ以外に、無機質繊維などが混入され耐火性・耐衝撃性の向上を図った強化石膏ボード(準耐火建築物に使用)、防水処理を施した耐水石膏ボード(シージング石膏ボードとも呼ばれています)(洗面脱衣室などの多湿箇所用)、石膏ボードの表面に長方形のくぼみをつけた石膏ラスボード(塗り仕上げ用)、釘の側面抵抗を上げた構造用石膏ボード(耐力壁用の面材)などの種類があり、使用箇所に応じて使い分けを行ないましょう。
石膏ボードのサイズは、3尺×6尺板(910mm×1820mm)、3尺×8尺板(910mm×2420mm)、3尺×9尺板(910mm×2730mm)、4尺×8尺[厚み12.5のみ](1212mm×2420mm)、1m×2m[厚み9.5mm、12.5mmのみ](1000mm×2000mm)、1m×8尺[厚み9.5mm、12.5mmのみ](1000mm×2420mm)で、
厚みは壁に使用する場合は12.5mm、天井に使用する場合は9.5mmが一般的に用いられます。
尚、準耐火建築物では、部位によって厚み15mmが必要な場合もあります。
尚、石膏ボード下地の場合、直接石膏ボードに釘やネジは取り付けられません。絵などを取り付けする場合は、ボードアンカーにて対応するか、若しくは、事前に下地補強を設けるようにしましょう。
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