和室とは、一般的に畳を敷いた日本様式の部屋のことを言います。木造を基調に、畳、紙障子、襖、床の間などの伝統的な手法が用いられ、木の温もりが暖かさと、伝統的な様式が高級感を醸しだしています。
和室独自の美しさを表現する、鴨居、敷居、長押などの和室造作材は、柱や梁などの構造材に無い、和室独自の美しさを魅力的に演出する、必要不可欠の化粧部材です。
主な和室の造作材は、出入り口や窓の開口部に設ける敷居・鴨居、床・壁・天井を見切る畳寄せ及び廻縁、床の間の形式によって変わりますが、床柱や床框・落し掛・雲板、格調高く演出する長押などが一般的に採用されます。
造作材の樹種は、化粧構造柱の樹種によって使いわけ、白みの桧やスプルース、若しくは、若干 桧より赤みの杉や松などの樹種が使われます。
また、造作材で大事なことは、狂いや伸縮、割れが発生しないことです。昔は、無垢材で対応されていましたが、現状では表面に突き板が化粧で貼られた造作用集成材が殆ど使われています。集成材は、必要な寸法・形状が自由に造る事が可能で、品質も均一化されています。また、既製品としても多く出回っています。尚、真壁納まりと大壁納まりの和室では、造作材の寸法が違ってきます。
※真壁と大壁の違いは、技術的質疑集の「和室の真壁仕様と大壁仕様の違い」を参照下さい。
床柱は、床と床脇の間にある柱で、和室全体の調和も床柱で決まるので、材質や木目などにこだわったものが用いられます。格式高い床の間には、桧の正角大面取りの柱を用いますが、現代の一般住宅では黒檀・紫檀・桧の突板貼り(集成材芯)若しくは、杉磨き丸太・人工絞り丸太などが用いられています。また、床柱のサイズは和室の広さによって使いわけられ、広い和室ほど大きくします。
床框(とこがまち)は、本床において床の前に取り付けられる水平材のことで床縁ともいいます。
床の間の床は薄縁(うすべり)を基本としますが、最近では、ケヤキや松などの床板も多く使われています。また、床框と地板が一体となったケヤキなどの段床板も使われています。
落とし掛け(おとしがけ)は、床の間上部の小壁下に取り付けられる水平材のことです。一般的には、杉杢の突板貼り集成材の落し掛けが多く使われています。
長押(なげし)は、和風建築や社寺建築において、化粧のために柱の側面などに取り付けられた水平材のことで、元来は長方形断面を有していましたが、室町時代後期以降は今の台形断面となりました。成が柱幅の80〜90%程度のものを本長押、60〜70%程度のものを半長押といいます。長押の材種は、柱の材種に応じて使いわけられ、一般的には桧柾目の突板貼りの集成材が多く使われています。
雲板は、床の間の正面の壁上部の廻縁下に取り付ける化粧幕板です。幅は和室の格式に応じて柱の幅により使いわけられます。赤みの杉柾板が一般的に使われますが、住宅メーカーや建築条件付け物件・建売住宅ではあまり採用されていません。
敷居及び鴨居は、和室の出入り口や窓に設ける建具枠で、下部に設ける枠を敷居、上部に設ける枠を鴨居といいます。建具の枚数により一本溝、二本溝、三本溝があり、三本溝は4寸幅の敷居・鴨居が必要です。また、建具を設けない開口枠の場合は、下部を無目敷居、上部を無目鴨居若しくは、ただ単に無目といいます。
材種は、柱の材種に合わせて選定します。一般的には、桧の突き板集成材が使われています。
付鴨居は、開口部の鴨居の取り付く高さの、開口部が無い壁に取り付ける水平化粧部材です。樹種は鴨居と同じものを採用します。
長押を設ける場合は必ず付鴨居が必要です。また、長押を設けない場合は、和室のデザインにより、付鴨居設けない場合もあります。
尚、塗り壁を採用する場合は、長押が無くてもクラック防止策として、付鴨居を設ける事をお勧めいたします。
畳寄せは、畳が壁に接する壁の下部に、敷居と同様のように柱間に取り付ける水平見切材です。
材種は敷居と同じものを採用するか、敷居のように大きく見えてこないために、ランクを落してスプルースなどが使われるのが一般的です。
床の間は、和室の構成要素の中でも最も伝統的な法則があり、格式が重要視され、和室の象徴とされています。
四季を演出し、お客様を迎える「顔」でもあるため、床の間を背にして座る位置が上座とされています。床には掛軸が掛けてあり、香炉・花入れが置かれ、違い棚には飾り物が置かれたりします。
床の間の種類は、長い間にいろいろな種類のものが考え出されてきました。主なものには、本床(ほんどこ)、蹴込み床(けこみどこ)、踏み込み床(ふみこみどこ)、釣床(つりどこ)、織部床(おりべどこ)などがあります。
本床は、床框・畳座(薄縁)・床柱・落し掛けなどを備え格式高く、最も一般的な床の間の形式です。
蹴込み床は、畳敷きの代わりに板敷きにした板床で、床框を省き床板の小口を表して、蹴込み板をはめこんだ形式の床の間。蹴込み板の代わりに丸太や竹などを使ったものもあります。
踏み込み床は、床框がなく和室の畳面と同じ高さに地板だけを設けた形式の床の間。
釣床は、壁床ともいう。柱芯より45pほど前方に天井から吊束を下げ、これに落掛けを取り付け、小壁を設けた形式の簡易床の間です。下は畳敷きのままです。
織部床は、床の間の位置にあたる場所の天井回り縁の下に、幅18〜21pほどの化粧板(雲板)を貼り付けた簡易形式の床の間。
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