カーペットや絨毯は、フローリングに比べて防音性やクッション性、安全性(滑り難さ・衝撃吸収性)、断熱性に優れた床材です。
また、色・柄・テクスチャーなどの種類も豊富で、あらゆる床材の中で最もファッショナブルな床材です。
元気に走り回るお子さんの下階に響く足音が気になる場合や、省エネを考慮したい場合などには、カーペットも床材として検討する価値があるのではないでしょうか!!。 (カーペットの効果参照)
尚、一時カーペットにはダニが生息しやすいと問題になりましたが、防ダニ加工の施されたカーペットや湿気が溜まり難く、掃除のし易い毛足の短いものや、ループパイルなどのカーペットを選ぶようにしましょう。
また、子供の成長具合に合わせて部屋の雰囲気を変えられるように、タイルカーペットを選択したり、冬場だけ暖かく過ごしたい場合などは、フローリングを敷き詰めた上で、ラグカーペットやタイルカーペットなどの簡単に取り外しが可能なカーペットとすることも一案です。
カーペットには、製造方法や表面の毛足(パイル)の形状(テクスチャー)、カーペットの素材によっていくつかに分類でき、それぞれに特徴があります。
同じように見えても感触や機能性などに違いがあります。
カーペットの製造方法による分類では、パイルの有無、織りカーペット・刺繍カーペット・接着カーペット・編みカーペット・圧縮カーペットなどの製法の違い、また、機械織りと手織りのカーペットに分類されます。
【パイルのあるカーペット】 | ・ | 織りカーペット | 段通 | (手織りカーペット) |
ウィルトンカーペット | (機械織りカーペット) | |||
ダブルフェイスカーペット | (機械織りカーペット) | |||
アキスミンスターカーペット | (機械織りカーペット) | |||
・ | 刺繍カーペット | タフテッドカーペット | ||
フックドラグ | ||||
・ | 接着カーペット | ボンデッドカーペット | ||
フロックカーペット | ||||
コードカーペット | ||||
・ | 編みカーペット | ニットカーペット | ||
・ | 圧縮カーペット | ニードルパンチカーペット | ||
【パイルのないカーペット】 | ・ | 織りカーペット | 三笠織り | |
菊水織り | ||||
平織り | ||||
花筵 | ||||
・ | 縫い付けカーペット | チューブマット | ||
・ | 圧縮カーペット | ニードルパンチカーペット | ||
毛氈 |
段通は手織りカーペットの一つで、綿やジュートの経糸に羊毛などのパイルを、1本1本手で結びつけて立毛にし、さらに各種の色糸を織り込んで模様を表したもので、古くはペルシャ(イラン)を中心とする中近東でつくられ、シルクロードを経て中国に伝わったカーペットのことを言います。
段通は、パイルが密で、粒数が多いほど、手間がかかるが高価で、耐摩耗性、耐久性、耐候性、弾力性に優れると言う特徴があります。段通には、「トルコ段通」、「ペルシャ段通」、「中国段通」などの種類があり、日本では、「堺段通」、「鍋島段通」などが有名です。
ウィルトンカーペットとは、基布とパイルを同時に織る機械織りのカーペットのことを言います。基布になる経(タテ)糸と緯(ヨコ)糸がパイル糸と同時に織り上げられるのが特徴です。
織りカーペットとしては、最高級品で、色数は2色から5色まで用いられ、美しい柄出しのカーペットでパイル密度が細かく、耐久性に優れると言う特徴があります。パイルの長も自由に変化させることができ、表面のパイル長の長さで、無地柄をつくることもできます。また、二重組織りのものを「ダブルフェイスカーペット」と言います。
18世紀の中期にイギリスのウィルトン市で初めて作られたことから、「ウィルトンカーペット」と呼ばれるようになりました。19世紀になってジャガードという人が考えた、自動柄出し装置をウィルトン織機につけるようになってから、ウィルトンカーペットは急速な成長を遂げました。
アキスミンスターカーペットとは、20〜30色の色糸を用いて、一本一本パイルを切断してU形に挿入した形で織られ、多色の模様織りに特徴があり、機械織りカーペットの最高級品のカーペットです。
イギリスのアキスミンスター地方で発達したため、「アキスミンスターカーペット」の名が付けられています。
アキスミンスターカーペットは、製法の違いによって、「スプール式」と、「グリッパー式」に分けられます。
タフテッドカーペットとは、タフテッドマシンによって、基布に刺繍のようにミシン針でパイルを刺し込む機械刺しで、パイルの抜けを防ぐために、裏面に接着材(ラテックスなど)をコーティングしパイルを裏面から固定したカーペットです。
タフテッドカーペットのパイル形状には、「ループ」、「カット」があり、また、タフテッドカーペットの素材には、「ナイロン」、「ウール」、「アクリル」、「ポリエステル」などが用いられています。タフテッドカーペットは、ウィルトンカーペットやアキスミンスターカーペットなどの織りカーペットの数十倍以上の生産能力があり、カーペットの主流となっています。
フックドラグとは、製法がタフテッド・カーペットと同じですが、一本の刺繍針で、パイルを差し込んでゆく手工芸的な方法でハンドタフテッドとも呼ばれています。
パイルの長さや糸の太さを自由に変えながら手で作るマットやタペストリーで、大きいものは劇場の緞帳なども製造可能です。
ボンデッドカーペットとは、あらかじめ接着剤を塗布した基布上にパイルを張り付けていく方法で作られたカーペット。
フロックカーペットとは、基布に接着剤を塗布し、静電気によって短繊維(フロック、毛羽)を植えつけて、パイル状の表面に加工したカーペットのことを言い、「電着カーペット」又は「電気植毛カーペット」とも呼ばれています。
コードカーペットとは、パイルを波状に並べて、ボリューム感を出し、ゴムなどの下地材に接着し、固定した圧縮カーペットのことを言います 。
一見コード状にみえる不織布カーペット。デザインがモダンで経済的なのでオフィスに用いられる。
ニットカーペットとは、パイル糸と基布を同時に、ラッセル機などの編み機を用いて、編んだカーペットのことを言います。ニットカーペットは、通常は、ループパイルで、パイルに高低を付けることもできます。
ニードルパンチカーペットとは、ポリプロピレンなどでできた繊維をのべ綿状に積層し、これをバーブ(とげ)のあるニードルで突き刺して繊維をフェルト状に絡み合わせて、裏面にラテックス・コーティングをしたもので、表面もフェルトのようにフラットです。
感触が硬く弾力性に乏しいですが、裏面に発泡材を接着して弾力性を出したものもあり、カラーが豊富ことや低価格で、切り口から糸がほつれてくる心配がないため、カッティングや施工が容易なことなどが特徴です。また、パンチカーペットとも言われています。
ニードルパンチカーペットには、パイルによるクッション性や高級感がないので、一般住居用よりむしろ、活動的な場所、例えばオフィス、軽作業場、廊下、遊技場、集会場、展示場、幼児室などの床材料として適しています。
平織りカーペットとは、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を組み合わせたもので、パイルのないカーペットのことを言います。
平織りカーペットには、「緋毛氈(ひもうせん)」、「菊水織り(きくすいおり)」、「三笠織り(みかさおり)」などの種類があります。
チューブマットとは、太い芯糸の周囲に色糸をコード編みしたチューブを円形や楕円形にミシン縫いした敷物です。
チューブマットは、主に玄関や台所のマットとして用いられます。尚、フローリング等の滑りやすい素材の上で使用する場合、けが防止のためにすべり止めシート等を併用して用いられています。
毛氈とは、主に未などの獣毛を原料とした厚地のフェルト状の敷物でカーペットの一種。
毛氈は、断熱、保温、クッション 性に優れ、茶道の茶席や寺院の廊下などに和風カーペットとして広く使用されています。
また、赤い色の毛氈は緋毛氈(ひもうせん)とも言います。
尚、正倉院には奈良時代に唐から輸入された日本最古の模様入りの花氈(かせん)が伝えられています。
カーペットのパイル形状による分類では、パイルの先端がカットされているカットパイル、パイルの先端がループ状のループパイル、カットパイルとループパイルの組み合わせたカット&ループパイル、また、平織りやフェルト調などの表面に毛足のないフラットタイプに大きく分類されます。
【カットパイル】 | ・ | プラッシュ | ||
・ | ベロア | |||
・ | サキソニー | |||
・ | ハードツイスト | |||
・ | シャギー | |||
・ | ヘアー | |||
【ループパイル】 | ・ | レベルループ | ||
・ | マルチレベルループ | |||
・ | ハイ&ローループ | |||
【カット&ループパイル】 | ・ | ハイカットローループ | ||
・ | レベルカット&ループ | |||
【フラット】 | ・ | フェルトタイプ | ||
・ | 織りタイプ |
カットパイルとは、カーペットの表面にあるパイルを切り揃えたものをいいます。
デザイン性にすぐれ、微妙な色合いの変化が楽しめます。
また、パイル長が25mm以上あるものをシャギーと呼び、パイルの長さや太さ、密度により、ブラッシュ、ベロア、サキソニー、ハードツイスト、シャギー、ヘアーなどがあります。
プラッシュとは、カットパイルのなかでもっとも一般的なタイプで、毛足の表面は5mmから10mmの間で均一にカットされているものです。光によって表情がかわり美しく、耐久性はループタイプに劣りますが断面の質感やソフトな踏み心地はカットパイルならではです。
サキソニーとは、表面に熱処理を行い、ウールのような柔らかさ、へたりにくさを与え、遊び毛を出にくくさせる加工(ヒートセット加工)を施したカットパイルで、パイル長が15mm程度のカーペットのパイル形状のことを言います。
サキソニーは、密度が高く、弾力性に優れると言う特徴があります。
ループパイルとは、パイルを丸くループ状に仕上げたものをいいます。カットパイルに比べて、耐久性や歩行性にすぐれています。
パイルの高さが揃っているものをレベルループといいますが、凹凸感を表現したハイ&ローループなどもあります。
レベルループとは、毛がループ状で表面の高さが均一に揃っているタイプです。
パイルの密度が高く、表面が滑らかで弾力性があり、また、耐久性にすぐれており歩行がしやすく掃除も楽なので、通行量の多いスペースにも適しています。
カット&ループパイルとは、カットパイルとループパイルを組み合わせ、微妙なテクスチャーを表現したタイプのカーペットです。
凹凸感を表現したり、柄を強調したりと変化に富んでいます。
カット&ループパイルには、レベルカット&ループとハイカットローループなどがあります。
レベルカット&ループとは、カットパイルとループパイルを併用したタイプです。
デザインを強調させたり、色調を部分的に変化させる効果があり、様々な柄模様が表現できます。
ハイカットローループとは、カットパイルを長くし、ループパイルを短くしたカット&ループパイル。
カーペットの材質による分類では、天然繊維と化学繊維に大きく分類されます。
【天然繊維】 | ・ | ウール | ||
・ | 綿 | |||
・ | 絹 | |||
・ | 麻 | |||
【化学繊維】 | ・ | レーヨン | (セルローズ系) | |
・ | アクリル | (合成繊維) | ||
・ | ナイロン | (合成繊維) | ||
・ | ポリプロピレン | (合成繊維) | ||
・ | ポリエステル | (合成繊維) |
ウールのカーペットは、保温性が良く、弾力性にとみ、手触りが良い。また、燃えにくく、染色性に優れ、柔らかくて暖かい。
尚、ウールは短毛を撚って糸にする為、遊び毛が発生します。長く使用するに従い減少しますが、全くなくなる事はありません。これは、糸から撚った短毛が抜け落ちるもので、パイル自体が抜けるわけではありません。遊び毛が気になる方は、化学繊維のカーペットをお勧め致します。
綿のカーペットは、柔らかく弾力性に富んでいます。また、吸収性・吸水性に優れているので水周り製品に多く使われています。
絹のカーペットは、繊維が細くてしなやかで、光沢に優れ、高級段通などに使われています。
麻のカーペットは、耐久性に優れ、涼感に富んでいます。
レーヨンのカーペットは、保温性が良く、弾力性に富み柔らかくて暖かいなどウールと似た特性を持つ。耐薬品性があり防カビ、防虫に優れる。
アクリルのカーペットは、ふっくらとして柔らかく弾力性や保温性に優れ、ウールと似た風合いを持ち、耐薬品性があり、カビや虫害を受けない。染色の良鮮明さ・堅牢度に優れる。
ナイロンのカーペットは、非常に強くて軽く、薬品や油・カビの虫害を受けない。擦り切れの強さがほかの繊維に比べて格段に優れていて、非常にへたりにくい。
ポリプロピレンのカーペットは、水に浮くほど軽く、しかも強い。酸・アルカリなど化学薬品に強く、カビや虫害に侵されない。
ポリエステルのカーペットは、摩擦に強く、合成繊維の中では最も熱に強い。また、日光や薬品に強く、カビや虫害に侵されない。
素材 | ウール | アクリル | ナイロン | ポリプロピレン | ポリエステル |
すりきれ強さ | 合成繊維より劣る | ナイロンより やや劣る |
優れている | ナイロンより やや劣る |
ナイロンに次ぐ |
耐ヘタリ性 | 富む | やや劣る | 富む | 乏しい | ナイロンより やや劣る |
親水性 | 優れている | 僅かにあり | 僅かにあり | 無い | 無い |
汚れ落ち | 良好 | 普通 | 普通 (フィラメントでは良好) |
良好 | 普通 (フィラメントでは良好) |
防炎性 | 燃え難く焼けこげが目立ちにくい | 一部には急速に燃えるものがある | 炎に溶ける | ナイロンと同じ | ナイロンと同じ |
帯電性 | あまりない※1 | あまりない | しやすい (帯電防止加工が必要) |
あまりない | あまりない※2 |
防虫性 | 防虫加工が必要 | 虫がつかない | 虫がつかない | 虫がつかない | 虫がつかない |
防カビ性 | 乏しい | 侵されがたい | 侵されがたい | 侵されがたい | 侵されがたい |
カーペットには、防音効果、保温効果、衝撃吸収効果、安全効果、防眩効果、装飾効果などの優れた効果が期待できます。
カーペットの裏側のクッションの材が防音効果を高め、より防音機能を持ったカーペットもあり、戸建住宅や集合住宅の上階の防音対策に有効です。
カーペットは特に、冷たい床面を覆うことで部屋の保温・断熱にも効果があり、省エネにもつながります。
カーペットには適度なクッション性があるため、歩いていても疲れません。アスファルト道路や石畳の上を長時間歩くと、とても疲れますが、土や芝生の上だと長時間歩いてもそれほど疲れません。これと同じ事が床材にもいえます。堅い床材は歩行の衝撃がじかに跳ね返ってくる為、歩き回ると疲れます。適度にソフトな床材はその衝撃を吸収してくれるのです。
家庭内事故でもっとも多いのは転倒による事故であり、この為、特に高齢者や妊婦のいる家庭では滑りにくい床材を選ぶことが肝心です。カーペットは柔らかい為、たとえ転んでもダメージが少なくてすみます。幼児はしょっちゅう転びますし、少年は転げまわって遊ぶことが大好きです。カーペットを敷きつめると、転倒による事故を急減することができます。
ビニルタイルや木質フロアなどの硬質な床材に比べ、カーペットは光の反射をおさえ目に優しく、且つ床材の保護にもなります。
機能性とは別にインテリアの一部として重要なアイテムです。色や柄や素材を組み合わせることで個性的でオシャレな部屋をアレンジできます。
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■外壁仕上材 |
・吹付材 |
・サイディング |
・外壁タイル |
■屋根仕上材 |
・粘土瓦、 セメント瓦 |
・化粧スレート、 金属葺き |
■外装床仕上材 |
・外装床タイル |
■内装仕上材 |
・フローリング |
・縁甲板 |
・CFシート |
・畳(たたみ) |
・内装床タイル |
・クロス(壁紙) |
・塗り壁 |
■その他仕上材 |
・石材 |
・化粧合板 |
・和室造作材 |
・塗装 |
■建具関係 |
・室内建具(洋) |
・室内建具(和) |
・外部建具(窓) |
・外部建具(扉) |
・ガラス(硝子) |
■下地材関係 |
・合板、パネル |
■インテリア関係 |
・カーテン |
・ブラインド等 |
・カーペット等 |
■住宅設備関係 |
・衛生便器 |
■設備関係 |
・電灯照明器具 |
・スイッチ、コンセント |
■チェックシート |
・仕上編 |
・建具編 |
・設備編 |