トイレに用いられる便器には、小便器、大便器の2種類があり、大便器には洋式と和式に分類されます。
近年住宅に用いられる便器では和式は用いられず、洋式便器が主に用いられ、洋風便器には、タンク、便座、便器の3つの部分で構成されています。
タンクは手洗い付きと手洗いが付いていないタイプがあります。
また、便座には一体型若しくは分離型、便器には、一般タイプのタンク付きの他に、デザイン性を考慮したタンク一体型やタンクレスタイプがあります。
また、洗浄の種類によって、洗い出し式・洗い落とし式・セミサイホン式・サイホン式・サイホンゼット式・サイホンボルテックス式・ダイレクトバルブ式などの、いろいろな洗い流し方式により分類されています。
小便器は主に男性用で立って用を足すために作られている物がほとんどで、 公衆便所や鉄道駅の構内などに多く用いられ、住宅のトイレには、汚れやハネなどの観点から小便器を用いることが少なくなりました。
大便器は女子用または男子大用の便器のことで、大別すると和式と洋式があります。
また、排出するための水を貯めるタンク(ロータンク)があるタンク式便器と直接水道と直結で流すタンクレス式便器(ダイレクトバルブ式)に大別されます。
タンク式便器には、便器の背面に設ける密結タイプ、便器から少し離れて設ける平付きタイプや隅付きタイプなどがあり、更にタンクの給水で手が洗える手洗い付きタイプと手洗い無しタイプに分類されます。
また、タンクと便器が一体化して、タンクが目立たないワンピース便器がデザイン性に優れています。
和風大便器は、床に埋め込まれ前方に金隠しがあるのが一般的です。材質は陶器製がほとんどで、水洗便器の場合、住宅やオフィスの新築・リフォーム用としてはほぼ洋風便器に移行しており、駅など不特定多数の利用があるパブリック用に設置されるのがほとんどです。
洋風大便器は、便器・タンク・便座・蓋で構成され、暖房便座、温水洗浄便座が付いている一体型便器(シャワートイレ)もあります。
和風便器に比べれば、汚物による臭気が抑えられるほか、安全やバリアフリー面、ユニバーサルデザインの観点からも利点が多く、住宅に多く用いられています。
なお、洋風便器鉢部分の前後方向長さから、大きく分けてレギュラーサイズ(普通サイズ)とエロンゲートサイズ(大形サイズ)とがあります。
また最近ではタンクレス便器の商品もあります。
便器には洗浄方式によって洗浄力(汚れ防止)・静音・脱臭・節水の能力や機能に差があります。それぞれの特性をよく理解して便器を選びましょう。
洗い落とし式便器とは、水の落差による流水作用で汚物を押し流す方式で、構造がシンプルで安価なため住宅用として多用されていましたが、水溜面が小さいため、汚物が付着しやすいほか、洗浄時に水はねしやすく、他の便器に比べると便座のサイズが小さいなど、最近は住宅用でもサイホン式へ移行しています。
但し、一部ローコスト住宅として、洗い落とし式便器が標準仕様として用いられている場合も見受けられます。
セミサイホン式便器とは、サイフォン作用で汚物を排出する方式ですが、洗浄水量を抑えるために水たまり面をサイホン式便器と洗い落とし式便器の中間に設計されています。
このためサイホン式便器より汚物が付着しやすく、洗浄時に多少水ハネが発生することがあります。
サイホン式便器とは、排水路を屈曲させてサイホン作用を起こさせることによって汚物を排出する方式で、汚物を吸い込むように排出する便器です。
現在の住宅新築用では主流となっている方式で、洗い落とし式便器により水たまり面が広く取れるため、汚物の付着もまれであり、一方で節水も進んでいます。
但し、サイホンゼット式便器に比べると、水たまり面(留水面)は狭いため、乾燥面に汚物が付着することがあります。
サイホンゼット式便器とは、パブリック用洋風便器に多く見られる、水たまり面の大きい方式で、排水路に設けられたゼット穴から噴き出す水が強いサイホン作用を起こし、汚物を吸い込むように排出させる方式の便器。
水たまり面(留水面)が広いため、汚物が水中に沈みやすく臭気の発散が抑えられ、乾燥面への汚物の付着が少ないのが特徴です。
サイホンボルテックス式便器とは、便器とタンクが一体になったワンピース便器で、洗浄水を短時間に吐水させて水位差をつくり、渦作用とサイホン作用を発生させることによって排出させる方式の便器で、洗浄時に空気の混入がほとんどなく洗浄音が最も静かな便器です。
サイホンゼット式便器より、さらに水たまり面が広い方式で、汚物の付着可能性も低く、臭気も少なく、優れた便器ですが、タンクの水圧が一般より多く必要とする為、住宅では2階に設けるには不向きで、1階でも水圧の変動が多い住宅では注意が必要です。
タンクレス式便器とは、住宅用洋風便器のロータンクをなくしたタイプで、水道の水圧だけで流すダイレクトバルブ式の便器。
タンクがないことによるデザイン性の向上や節水にも貢献するが、水圧の低い場所では使用できないという欠点があります。
便座には、一般的な普通便座、便座を暖めた暖房便座、また、おしりを洗う温水洗浄便座があり、それぞれ便器の大きさによって、普通サイズと大型サイズとがあります。
また、洋風便器と温水洗浄便座が一体化した便器が人気を集めています。
一般的な便器に用いられている普通便座には、前割便座のU型タイプと前丸便座のO型タイプがあります。
また、幼児用の便座や軟らかい便座などのアタッチメント用の便座も商品化されています。
便座が暖められたもので、TOTOではウォームレットと呼ばれる便座です。
TOTOではウォッシュレット、INAXではシャワートイレと呼ばれるもので、便器に近づくと自動で便器の蓋が開き、離れると閉まるオート開閉機能や、使用後に便器をオート洗浄するオート便器洗浄機能、トイレを使用後強力な脱臭機能に切り替わるオートパワー脱臭機能など、様々な快適機能を持つ温水洗浄便座も商品化されています。
トイレは毎日誰もが使う空間で、快適にリラックスしてくつろげる空間にしたいものですが、他のスペースの犠牲になりやすく十分なスペースを確保しにくいのが現状です。
一般的には畳み1畳分の広さが多く用いられていますが、敷地が狭い狭少地では、畳み0.75畳分の広さで階段下などに設けられるケーースも見受けられます。
建物の床面積に余裕が有る場合には、将来のことを考え介護者が付き添えるスペースや車椅子でも利用できる広さを確保したいものです。
910モジュールの場合の1畳タイプ・0.75畳タイプ・1.5畳タイプの標準的なトイレのレイアウトは下記を参照下さい。
一般的に多く用いられているトイレの広さで、柱芯芯で奥行きが1820mm(内法寸法約1690mm)、幅が910mm(内法寸法約780mm)タイプ。
スペース的には余裕が有り、小型の手洗器を設けることが可能で、また、便器の背面の腰壁をふかしてカウンターなどを設けるなどの変化・演出ができます。
トイレスペースが広く取れない場合に用いられるケースで、柱芯芯で奥行きが1365mm(内法寸法約1235mm)、幅が910mm(内法寸法約780mm)の広さで、狭少地の3階建ての住宅に多く見受けられるトイレの広さです。
便器から前方の壁までの寸法が便器によって違いますが、概ね470mm程度となり、スペースが狭く手洗付きのタンクがある便器が必要となります。
バリアフリー住宅や間取りに余裕が有る場合に用いられるケースで、柱芯芯で奥行きが1820mm(内法寸法約1690mm)、幅が1365mm(内法寸法約1235mm)タイプ。
幅に余裕があるので、下部に収納が可能な地袋付きカウンター手洗器などを設けることができます。
※ 注記)
内法寸法は、トイレ内の壁仕上面の内寸法を表し、柱寸法105mm角・壁下地材厚み12mmにて慨寸を記載しています。
また、モジュールの寸法や柱の大きさ、下地材の厚みにより、記載寸法が異なります。
許可なく文章、画像等を転載することを禁じます。
■外壁仕上材 |
・吹付材 |
・サイディング |
・外壁タイル |
■屋根仕上材 |
・粘土瓦、 セメント瓦 |
・化粧スレート、 金属葺き |
■外装床仕上材 |
・外装床タイル |
■内装仕上材 |
・フローリング |
・縁甲板 |
・CFシート |
・畳(たたみ) |
・内装床タイル |
・クロス(壁紙) |
・塗り壁 |
■その他仕上材 |
・石材 |
・化粧合板 |
・和室造作材 |
・塗装 |
■建具関係 |
・室内建具(洋) |
・室内建具(和) |
・外部建具(窓) |
・外部建具(扉) |
・ガラス(硝子) |
■下地材関係 |
・合板、パネル |
■インテリア関係 |
・カーテン |
・ブラインド等 |
・カーペット等 |
■住宅設備関係 |
・衛生便器 |
■設備関係 |
・電灯照明器具 |
・スイッチ、コンセント |
■チェックシート |
・仕上編 |
・建具編 |
・設備編 |