屋根材は住まいを守る大切な素材で、仕上げ材を選ぶ際には、その耐候性やメンテナンス、構造や建てる地域の気候などを考慮したいものです。また、どんな屋根材を選ぶかで、外観のイメージは大きく違ってきます。
屋根形状や要望する外観デザインに合わせて選ぶようにしましょう。
屋根材には大きく分けて、粘土系・セメント系・スレート系・金属系に分かれます。
粘土を使った焼きものの屋根材で、主なものは粘土瓦で、表面に釉薬が塗られている釉薬瓦と塗られていない素地瓦(いぶし瓦、素焼き瓦)とに大別することができます。
粘土瓦は、他の屋根材に比べて屋根の重量が重くなり、耐震性能を考慮する必要があります。
陶器瓦とも呼ばれ、プレス成形した瓦形の素地に釉薬(うわ薬)をかけて、窯の中に入れて高温で焼き上げた瓦をいいます。
さまざまな色を出せるのが魅力で、また、形はJ形(和形)、F形(平板)、S形等があり、家の形状、デザインに合わせて使い分けられます。和瓦の形や平型などの製品も増え、和風住宅だけでなく洋風住宅でも用いられています。
瓦表面の釉薬がガラス質になっているため、水が浸透せず、長い年月を経ても美しい状態を保て、メンテナンスの必要がありません。
【特徴】
無釉瓦には「いぶし瓦」、「素焼瓦」、「練込瓦」、「窯変瓦」などがあります。
「いぶし瓦」は、陶器瓦と同じ粘土瓦の一種ですが、陶器瓦と焼き方が違い、粘土を瓦の形にかたどったあと、釉薬(うわ薬)をかけずに窯の中に入れて焼き、そのあと「むし焼き」にして瓦の表面に炭素膜を形成させ、瓦全体(裏も表も)が渋い銀色をした瓦です。
瓦の形状は、釉薬瓦と同様で、特にJ型(和形)が多く、日本建築のお城や社寺、和風住宅の屋根に多く使われ、深い味わいを醸し出しています。
ただ、表面の炭素膜が年月の経過と共に剥がれ落ち、変色してきたり、また、水が浸透しやすく塩分を含んだ水(海水等)による塩害、寒さによる凍害等が起きることがあります。
【特徴】
また、「素焼き瓦」は、釉薬を施さず陶器の自然の風合いを生かした瓦で、酸化炎焼成の赤色のため赤瓦とも言われています。色合いもナチュラルで、洋風建築によくマッチします。
【特徴】
セメントと砂を主原料としたもので、プレスセメント瓦(厚形スレート)とコンクリート瓦に大別されます。
プレスセメント瓦は、加圧成形後にフッ素樹脂等の有機質の塗料で着色したものです。
また、施釉セメント瓦は、釉薬で表面処理され、耐火性能が上げられています。
コンクリート瓦は、半乾式押し出し成形後、乾燥前に顔料で着色したものです。
尚、セメント系屋根材は、経年により変色、脱色がおき、数年ごとにメンテナンス(塗装)が必要となります。こまめに塗装しないと、セメント瓦自体の劣化が早くなります。
しかし、セメント瓦は粘土瓦のように焼きねじれ、凍害といった心配がなく寸法精度が高いので、施工性の点では優れています。
【特徴】
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