住宅ローンとは、宅地の取得や住宅の新築・改築などの目的のために、土地と家屋を担保として銀行などから資金を借りるローンです。
住宅ローンは、大きく分けると公的住宅ローン(公的融資)と民間住宅ローン(民間融資)に分かれ、かつては、住宅ローンの組み方は、「住宅金融公庫融資」や「年金融資」などの公的住宅ローン(公的融資)を優先に、民間住宅ローン(民間融資)と言う優先順位で考えるのが、最も安全かつ有利なローンの組み方でした。
しかし、平成19年3月末で公的住宅ローンの住宅金融公庫融資が廃止となり、これからは「フラット35」も含め、民間住宅ローンを中心に住宅ローンを組むことが一般的になりました。
この流れを受けて、銀行など各金融機関も独自の住宅ローン商品の投入や期間限定のキャンペーンなど行なうようになり、以前のような横並び的な傾向は大きく崩れてきました。
また、メガバンク(旧都市銀行)や信金中央金庫、JA(農業協同組合)が「フラット35」並みの低金利の固定金利型住宅ローンの取り扱いを行なったり、最長35年の固定金利型住宅ローンを扱うノンバンク系のローン会社が登場するなど、民間住宅ローンの種類自体も多様化が進んでいます。
住宅ローンを組む前に、さまざまな情報収集を行なって、自分にとって有利な住宅ローンをじっくりと比較検討してから、住宅ローンの融資先を決定しましょう。
住宅ローンの種類
種類 | 金利タイプ | 融資条件 |
公的融資 | 自治体融資 | 都道府県や市町村などの地方自治体が行う融資。
金利タイプは自治体により異なる。 | 条件は自治体によって異なるが、一般的にはその自治体に居住または勤務していることを条件に、一定の収入以下の人、住民税を滞納していないことなどの条件を定めている自治体が多い。 全国全ての自治体にあるわけではない。 |
財形融資 | 住宅金融支援機構や雇用・能力開発機構が、一般財形貯蓄、財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄などをしている会社員、公務員を対象とした融資。
5年固定金利型(※1)。 | 勤労者が対象で財形貯蓄を1年以上継続し貯蓄残高が50万円以上であることが条件。 利用限度額は、残高の10倍か最高4,000万円までのどちらか少ない額となります。
※「フラット35」と併せて融資を受けることも可能。 |
民間住宅ローン | 都市銀行 信託銀行 地方銀行 信用金庫 信用組合 労働金庫 JA(農協) | 変動金利型・固定金利選択型から選択する金融機関が多いですが、 固定金利型(段階金利型)のみ扱うところもあります。 また、育児休業付きローン、退職金一括返済ローンなど、金融機関ごとに特色があります。 | 年齢・勤続年数・収入をクリアすれば融資が受けられるますが、銀行によって対応に差があります。 信用金庫、信用組合、労働金庫、JA(農協)では、会員又は団体会員の構成員であることや営業地域に居住しているか勤務していること等が条件となる場合がある。 |
生命保険会社 損害保険会社 ノンバンク(信販・クレジット会社など) | 各金融機関によって異なる。 | 建設業者や住宅メーカーなどと提携してローンを斡旋し、提携型で対応しているところが多い。誰でも利用できるところと、提携先企業の社員などに限定している場合と分かれる。
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フラット35 | 住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)と民間金融機関が提携した住宅ローン。15年以上35年以下の長期固定金利型住宅ローンで金利は民間金融機関が決める。それぞれ取り扱う民間金融機関によって金利や融資額が変わってくる。 | 借入申し込み時、満70歳未満で収入等の条件をクリアすれば、誰でも融資が受けられます。 利用限度額は、8000万円以下で、建設費若しくは購入価格の9割まで。 |
※1:公的融資の財形住宅融資は、5年毎の金利見直しとなっていて、「5年固定金利型」という紛らわしい表現で紹介されていますが、5年ごとに金利と返済額が見直されるので、民間住宅ローンで言うところの「変動金利5年もの」と同じタイプというわけです。また、財形住宅融資の場合は、金利変更後の返済額の上限が1.5倍となっている点に注意が必要です。
年収の数倍の金額を借入れ、数十年にわたって返済を続けるのですから、金利のわずかな差でも、結果的には返済総額に大きな差が出て来ます。だからこそ、少しでも有利にローンを設定するために、情報収集と研究をすることが必要です。
住宅ローンを組むと言っても、人によって収入の水準や年齢、購入物件の種類、借りられる住宅ローンの種類など色々ですが、上手に住宅ローンを組むためにどうしても外せないポイントがいくつかあります。
金利だけで見てみると低金利時代を背景にして、民間住宅ローンの変動金利型や2、3年固定タイプなどでは、1%台の金利水準を設定しているところもあります。しかし、長い返済期間を考えると固定金利の「フラット35」などのほうが資金計画を立てやすく、かつ安全だといえます。
現状の金利水準はまだまだ低いのですが、今後、いつまでも同じ金利で推移することは、まだ考えられません。したがって、金利上昇のリスクを抱えた変動型や短期固定タイプは避けたほうが無難だと言えそうです。
使う住宅ローンの数を増やすと、契約書に添付する印紙税や事務手数料は、契約する住宅ローンのそれぞれに必要となります。そのため、契約するローンの数が増えれば、それだけ手間とお金がかかることになります。