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●耐震性能アップの対応策

耐震性能アップの対応策

建物の耐震性をUPさせる方法には、品確法の住宅性能表示での耐震等級対応と建築基準法にて定められた必要壁量を多く取る安全率対応の2の方法があります。

住宅性能表示での耐震性UPの対応は、品確法が基準となり法律で各耐震等級の規定が定められています。
考え方は、建築基準法に定められた耐震性に対して等級2では1.25倍、等級3では1.5倍の耐震性能を有する建物を造ることです。構造設計を構造計算で対応する場合は、安全率対応と考え方は同じですが、木造2階建て等の構造計算が不要な場合で仕様規定で対応する場合は、建築基準法で定められた最低の基準を遵守した上で、更に、品確法で定められた各耐震等級の基準に従った複雑な設計を行う事が要求されます。

また、安全率対応は建築基準法で、建物の規模・仕様により必要壁量が最低基準として定められています、それを応用し最低必要壁量以上の壁量を設ける事で耐震性を上げる方法です。いくら以上の安全率を確保しなさいと言う、法律上の規定はありませんが、建築基準法の最低必要壁量の約1.5倍以上の壁量を確保して建物の耐震性UPを図る事をお勧めいたします。。

下記表に、一般的な建築基準法による、仕様規定の構造設計対応と品確法の住宅性能表示による仕様規定の構造設計対応を記載しています。

 安全率対応  (建築確認申請)耐震等級対応  (住宅性能表示申請)
構造計算の対応許容応力度計算(仕様規定の対応は不要)
仕様規定の対応@
基準の法律
建築基準法の応用品確法
A
必要壁量
B
壁量の種別
耐力壁耐力壁 + 準耐力壁
C
床倍率の規定
無し有り
D
耐力壁線の規定
無し有り
E
継手の規定
筋交いの接合規定
柱頭・柱脚の接合規定
筋交いの接合規定(安全率対応と同じ)
柱頭・柱脚の接合規定(安全率対応と同じ)
胴差と通柱の接合規定
外周部の接合規定
F
横架材の寸法規定
無し 有り 
G
壁のバランス
4分割法 若しくは 偏心率
設計費基本設計内での対応設計費用の追加発生
工事費用工事費はUPするが、標準本体価格からの差額が算出し難く、業者交渉によるがサービス対応が多い。
  1. 耐震等級対応の必要壁量は、等級2の場合を記載しています。尚 等級3の場合は更に壁量が必要となります。
  2. 耐震等級対応の必要壁量に記載しているK1・K2・Zは、それぞれ次ぎの数値を表します。
    K1 : 0.4+0.6Rf
    K2 : 1.3+0.07/Rf (Rf が0.1を下回る場合は2.0とする)
    Rf : 2階床面積/1階床面積
    Z : 建築基準法施行令88条に規定する地震地域係数(1.0〜0.7)
  3. 建築基準法での構造設計の対応はこちらを参照して下さい。 ⇒ 構造設計の手法

住宅性能表示は任意の制度ですが、建物の性能を明確にするために性能表示を採用する場合や銀行融資やフラット35の優良住宅取得支援制度(S)を採用する場合には必ず耐震等級対応となります。
また、住宅性能表示を行う場合は、民間検査機関に設計段階での設計住宅性能評価や施工時の建設住宅性能評価を受けるなど、民間検査機関に審査費用及び現場検査費用が必要となります。更に、本来の設計費以外にも住宅性能表示対応の設計費が必要となります。

  1. フラット35の金利優遇対応(S)を採用する場合、性能表示の設計住宅性能評価や建設住宅性能評価は不要です。あえて性能表示を行わなくても耐震性能が性能表示基準に準じて対応されていれば問題はありません。尚、その内容の審査は、フラット35の適合認定審査時にチェックされます。
  2. 耐震等級対応の場合、殆ど仕様規定で設計対応せず構造計算対応となる場合が多いです。尚、その場合の構造計算対応の設計費が追加費用としてかかってきます。

耐震性UPの安全率対応

性能表示を採用しない場合や耐震等級対応で耐震性のUPを図る必要が無い場合には、 建築基準法の必要壁量の安全率を上げて耐震性を向上させることをお勧めいたします。

この対応については、設計費用の追加対応はなく、また、本来、耐力壁の強度・量が増え 更に耐力壁に隣接する柱の接合部の金物の強度・個数が増えますが、建物の販売価格を坪○○万円と対応している本体単価形式の販売価格設定では、追加の差額を算出し難く、殆どの場合建築業者のサービス対応となるケースが多いです。

安全率対応で耐震性の向上を図る場合は、合わせて耐力壁のバランスを表す4分割法 若しくは偏心率が有りますが、出来るだけ偏心率を採用し、規定では0.3以下とされていますが、0.15以下になるように対応する事をお勧めいたします。




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