●断熱工事の施工基準 「フラット35(住宅金融支援機構の仕様)による断熱施工基準の比較)

各断熱の施工基準の違いは、概ね下記内容です。

住宅金融支援機構の仕様による各省エネ基準の違い(施工編)
項目 旧省エネ基準 新省エネ基準 次世代省エネ基準 備考
住宅金融支援機構の仕様 @融資要件 A基準金利適用住宅(省エネルギータイプ)
B省エネルギー住宅(一般型)割増融資
Cフラット35S(省エネルギー性)
Dフラット35S(20年金利引下げタイプ)
住宅金融支援機構の仕様とは【フラット35 】技術基準を言います。
断熱材の施工概要
  1. 断熱材は隙間無く施工する。
  2. 断熱材の充填は、周囲の木枠及び室内側下地材との間に隙間を生じさせない。
  3. 充填工法の場合は、フェルト状、ボード状又は吹込み用断熱材を、根太や間柱などの木枠にはめ込み、又は天井の上に敷き込む。
  4. ボード状の断熱材を充填する場合、隙間が生じた場合は現場発泡断熱材などで補修する。
  5. ボード状断熱材又はフェルト状断熱材を外張りする場合は、断熱材の突付け部を、柱などの下地がある部分に合わせ隙間が生じない様に釘留めする。
  6. 耳付き防湿層を備えたフェルト状断熱材を施工する場合は、耳を木枠の室内側見付面に間隔200mm内外でステープル留めとする。
←@に同じ
  1. 断熱材は隙間無く施工する。
  2. 断熱材の充填は、周囲の木枠及び室内側下地材との間に隙間を生じさせない。
  3. 充填工法の場合は、フェルト状、ボード状又は吹込み用断熱材を、根太や間柱などの木枠にはめ込み、又は天井の上に敷き込む。
  4. ボード状の断熱材を充填する場合、隙間が生じた場合は現場発泡断熱材などで補修する。
  5. ボード状断熱材又はフェルト状断熱材を外張りする場合は、断熱材の突付け部を、柱などの下地がある部分に合わせ隙間が生じない様に釘留めする。
  
防湿材の施工
  1. グラスウール、ロックウール、セルローズファイバー等の繊維系断熱材、及びプラスチック系断熱材のうち建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームA種3又はA種フェノールフォーム3種2号、その他これらに類する透湿抵抗の小さい断熱材を使用する場合は、防湿材を室内側に施工する。但し、下記のいずれかに該当する場合は、防湿層を省略できる。
    • 土塗り壁の外側に断熱層が有る場合。
    • 床断熱に於いて、断熱材下側が床下に露出する場合、又は湿気の排出を妨げない構成となっている場合。
    • 断熱層が単一の材料で均質に施工され、透湿抵抗比(※1)が次の値以上で有る場合。
      • T及びU地域、壁4、屋根又は天井5。
      • V地域、壁2、屋根又は天井3。
      • W及びX地域、壁2、屋根又は天井2。
  2. 防湿材の施工は下記のいずれかによる。
    • 防湿材は幅広の長尺シートを用い、連続させ、隙間の出来ないように施工。また、継目は下地材のあるところで30o以上重ね合わせる。
    • V、W、X地域において前文によらず、耳付きの防湿材を備えたフェルト状断熱材用いる場合は、防湿材を室内側に向けて施工する。尚、防湿材の継ぎ目は、隙間が生じないよう十分突き付け施工する。隙間が生じた場合は、防湿材、アルミテープ等の防湿テープで補修する。
  3. 防湿材は、電気配線や設備配管などにより破られないよう注意して施工する。万一、防湿材が破れた場合は、アルミテープ等の防湿テープで補修する。
←@に同じ
  1. グラスウール、ロックウール、セルローズファイバー等の繊維系断熱材、及びプラスチック系断熱材のうち建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームA種3又はA種フェノールフォーム3種2号、その他これらに類する透湿抵抗の小さい断熱材を使用する場合は、防湿材を室内側に施工する。但し、下記のいずれかに該当する場合は、防湿層を省略できる。
    • 土塗り壁の外側に断熱層が有る場合。
    • 床断熱に於いて、断熱材下側が床下に露出する場合、又は湿気の排出を妨げない構成となっている場合。
    • 断熱層が単一の材料で均質に施工され、透湿抵抗比(※1)が次の値以上で有る場合。
      • T及びU地域、壁5、屋根又は天井6。
      • V地域、壁3、屋根又は天井4。
      • W及びX地域、壁2、屋根又は天井3。
  2. 防湿材の施工は下記のいずれかによる。
    • 防湿材は幅広の長尺シートを用い、連続させ、隙間の出来ないように施工。また、継目は下地材のあるところで30o以上重ね合わせる。
    • 前文によらず、耳付きの防湿材を備えたフェルト状断熱材用いる場合は、防湿材を室内側に向けて施工する。尚、防湿材の継ぎ目は、隙間が生じないよう十分突き付け施工する。隙間が生じた場合は、防湿材、アルミテープ等の防湿テープで補修する。
  3. 防湿材は、電気配線や設備配管などにより破られないよう注意して施工する。万一、防湿材が破れた場合は、アルミテープ等の防湿テープで補修する。
  
基礎断熱の施工
  1. 床下空間を有する基礎断熱工法とする場合、又は土間コンクリート床の場合、断熱位置は、基礎の外側、内側又は両側のいずれかとする。
  2. 吸水性の小さい断熱材を用い、原則として基礎底版上端から基礎天端まで打込み工法により施工する。
  3. 断熱材の継ぎ目は、隙間が生じない様に施工。型枠脱型後、隙間が有る場合は現場発泡断熱材等で補修する。
  4. 基礎の外側に施工する場合は、外気に接しないよう外装仕上を行う。
  5. 基礎の天端と土台との間は隙間が生じないようにする。
  6. 床下防湿は、下記のいずれかの措置を講ずる。但し、防蟻措置が必要な地域(※2)に於いては、下記※印の項目に限る。
    • 床下全面にJIS A 6930(住宅用プラスチック系防湿フイルム)、JIS Z 1702(包装用ポリエチレンフイルム)、若しくはJIS K 6781(農業用ポリエチレンフイルム)に適合するもの、又はこれと同等以上の効力を有する防湿フイルムで厚さ0.1o以上のものを敷きつめる。尚、防湿フイルムの重ね幅は300o以上とし、防湿フイルムの全面をコンクリート又は乾燥した砂で押え、押えの厚さは50o以上とする。
    • 床下全面に厚さ100o以上のコンクリートを打設する。
    • ※鉄筋コンクリート造のべた基礎(厚さは100o以上で防湿コンクリートを兼ねる)とする。
    • ※基礎と鉄筋により一体となって基礎の内周部の地盤上に一様に打設されたコンクリート(厚さ100o以上で防湿コンクリートを兼ねる。)で覆う。
  7. ポーチ等の取合部で断熱欠損が生じない様にする。
←@に同じ ←@に同じ   
床断熱材の施工
  1. 施工後、有害なたるみ、ずれ、屋内側の材料とに隙間が生じない様、原則として受け材を施工する。
  2. 床下の換気は、住宅金融支援機構の仕様に準じて床下換気を行う。但し、基礎断熱工法を採用する場合は不要。
  3. 地面からの水蒸気の発生を防ぐため、床下防湿工事を行なう。
  4. ユニットバス下部床、バリアフリー対応を行った場合の和室の床に於いても、断熱材、防湿材を連続して施工し、断熱層と防湿層を設ける。
←@に同じ ←@に同じ   
壁断熱材の施工
  1. 長期間経過してもずり落ちないように施工する。
  2. 断熱材は土台から桁まで隙間なくはめ込むか、又は外張りとする。
  3. 筋違い、配管部分に隙間が生じない様に施工する。
  4. 断熱材の屋外側に通気層を設け、壁内結露の防止する構造とする。
  5. 配管部は、管の防露措置を行うと共に、断熱材は配管の屋外側に施工する。
←@に同じ
  1. 長期間経過してもずり落ちないように施工する。
  2. 断熱材は土台から桁まで隙間なくはめ込むか、又は外張りとする。
  3. 筋違い、配管部分に隙間が生じない様に施工する。
  4. 断熱層の屋外側に通気層を設け、壁内結露を防止する構造とする。また、断熱材として繊維系断熱材を使用する場合には、断熱材と通気層の間に防風層を設ける。但し、下記のいずれかに該当する場合は、通気層を省略できる。
    • T地域外で、防湿層が0.082usPa/ng以上の透湿抵抗を有する場合。
    • T地域外で、断熱層の外気側にALCパネル、又はこれと同等以上の断熱性及び吸湿性を有する材料を用い、防湿層が0.019usPa/ng以上の透湿抵抗を有する場合。
    • 断熱層が単一の材料で均質に施工され、透湿抵抗比が、下記の値以上である場合。
      • T及びU地域、5
      • V地域、3
      • W及びX地域、2
  5. 配管部は、管の防露措置を行うと共に、断熱材は配管の屋外側に施工する。
  
天井断熱材の施工
  1. 天井と外壁との取合、間仕切壁との交差部、吊木周囲の部分で隙間が生じない様にし、天井全面に施工する。
  2. 断熱材は、野縁間、又は野縁をまたいで天井全面に施工する。
  3. 天井断熱材にて、小屋裏換気経路が塞がれない様に施工する。
  4. 住宅金融支援機構の仕様による小屋裏換気を設ける。
  5. 埋込み照明器具をを使用する場合は次ぎのいずれかとする。
    • 器具を断熱材で覆う事が出来るS形埋込み形照明器具を使用し、断熱材が連続する様に施工する。
    • S形埋込み形照明器具以外の照明器具を使用する場合は、過熱による発火防止のたに断熱材は照明器具を覆わない。
←@に同じ
  1. 天井と外壁との取合、間仕切壁との交差部、吊木周囲の部分で隙間が生じない様にし、天井全面に施工する。
  2. 断熱材は、野縁間、又は野縁をまたいで天井全面に施工する。
  3. 天井断熱材にて、小屋裏換気経路が塞がれない様に施工する。
  4. 住宅金融支援機構の仕様による小屋裏換気を設ける。
  5. 埋め込み照明器具を使用する場合には、器具を断熱材で覆う事が出来る、S形埋め込み形照明器具を使用し、断熱材が連続する様にする。
  
屋根断熱材の施工
  1. 断熱材を垂木間に施工する場合は、施工後、有害なたるみ、ずれ、隙間等が生じないよう、原則として受材を設ける。
  2. 断熱材を垂木の屋外側に施工する場合は、屋根と外壁の取合で隙間が生じない様に施工する。
  3. 断熱材の外側には通気層を設ける。また、繊維系断熱材を使用する場合は、断熱材と通気層の間には防風層を設ける。
  4. 屋根断熱の通気層への入気のため軒裏には、住宅金融支援機構の仕様による小屋裏換気を設ける。
←@に同じ
  1. 断熱材を垂木間に施工する場合は、施工後、有害なたるみ、ずれ、隙間等が生じないよう、原則として受材を設ける。
  2. 断熱材を垂木の屋外側に施工する場合は、屋根と外壁の取合で隙間が生じない様に施工する。
  3. 断熱材の外側には通気層を設ける。また、断熱材として繊維系断熱材を使用する場合は、断熱材と通気層の間には防風層を設ける。但し、下記のいずれかに該当する場合は、通気層を省略できる。
    • T地域外で、防湿層が0.082usPa/ng以上の透湿抵抗を有する場合。
    • T地域外で、断熱層の外気側にALCパネル、又はこれと同等以上の断熱性及び吸湿性を有する材料を用い、防湿層が0.019usPa/ng以上の透湿抵抗を有する場合。
    • 断熱層が単一の材料で均質に施工され、透湿抵抗比が、下記の値以上である場合。
      • T及びU地域、6
      • V地域、4
      • W及びX地域、3
  4. 屋根断熱の通気層への入気のため軒裏には、住宅金融支援機構の仕様による小屋裏換気を設ける。
  5. 埋め込み照明器具を使用する場合には、器具を断熱材で覆う事が出来る、S形埋め込み形照明器具を使用し、断熱材が連続する様にする。
  
気流止めの施工
  1. 屋根又は天井と壁及び壁と床との取合部に於いて、外気が室内に流入しない様、当該取合部に気流止めを設ける。
  2. 間仕切壁と天井又は床との取合部に於いて、間仕切壁の内部の空間が天井裏又は床裏に対し開放されている場合は、当該取合部に気流止めを設ける。
←@に同じ
  1. 屋根又は天井と壁及び壁と床との取合部に於いて、外気が室内に流入しない様、当該取合部に気流止めを設ける。
  2. 間仕切壁と天井又は床との取合部に於いて、間仕切壁の内部の空間が天井裏又は床裏に対し開放されている場合は、当該取合部に気流止めを設ける。
  
※1 熱抵抗比とは、断熱層の外気側表面より室内側に施工される材料の透湿抵抗の合計を、断熱層の外気側表面より外気側に施工される材料の透湿抵抗の合計で除した値。
※2 防蟻措置が必要な地域は、北海道、青森、岩手、秋田、宮城、山形、福島、新潟、富山、石川、福井以外の地域。
  1. 上記記載の各省エネ基準は、フラット35(住宅金融支援機構)の各省エネ基準を掲載しています。尚、新省エネ基準については、現状住宅金融支援機構では運用されていませんが、断熱性能のレベルを計る上で旧基準金利適用住宅(省エネルギータイプ)の内容(等級3)について掲載しております。
  2. 上記記載の次世代省エネ基準の各項目に記載している内容は、Cフラット35Sの省エネルギー対策等級4について記載しています。また、Dフラット35S(20年金利引下げタイプ)と断熱性能は同じですが、設備機器等の省エネルギー対応が必要です。詳細については「フラット35S(20年金利引下げタイプ)」をご覧下さい。
  3. アンダーラインがある事項は、フラット35(住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の仕様)を採用する場合は、各省エネ基準に記載している内容は必須条件となります。
  4. 各省エネ基準の断熱性能については、「断熱性能の違いについて」をご覧下さい。
  5. 気密工事を行う場合の防湿フイルム(気密シート)の施工については、「気密住宅の仕様」をご覧下さい。

断熱の地域区分にもよりますが、W地域は最低でも新省エネ基準、出来れば次世代省エネ基準まで採用したいところです。



尚、このページに記載する各省エネ基準の施工については、フラット35技術基準フラット35技術基準 (旧住宅金融公庫基準)の内容を記載していますが、次世代省エネ基準の基本となっている「エネルギーの使用の合理化に関する法律」の「設計・施工指針」はこちらを参照して下さい。


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